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06月19日-02号

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  1. 奈良市議会 1997-06-19
    06月19日-02号


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    平成 9年  6月 定例会平成9年奈良市議会6月定例会会議録(第2号)----------------------------------   平成9年6月19日(木曜日)午前10時33分開議---------------------------------- 議事日程  日程第1 議案第51号 市長専決処分の報告及び承認を求めることについて       議案第52号 奈良市退職年金等の年額の改定に関する条例の一部改正について       議案第53号 奈良市自動車駐車場条例の一部改正について       議案第54号 奈良市改良住宅条例の一部改正について       議案第55号 奈良市消防団員等公務災害補償条例の一部改正について       議案第56号 奈良市非常勤消防団員に係る退職報償金の支給に関する条例の一部改正について       議案第58号 工事請負契約の締結について       議案第59号 工事請負契約の締結について       議案第60号 工事請負契約の締結について---------------------------------- 本日の会議に付した事件  第1、日程に同じ---------------------------------- 出席議員(43名)              1番  榧木義秀君              2番  池田慎久君              3番  山中賢司君              4番  森田一成君              5番  竹内成之君              6番  蔵之上政春君              7番  金野秀一君              8番  大井国崇君              9番  岡田佐代子君             10番  松村和夫君             11番  山口裕司君             12番  中村篤子君             13番  矢追勇夫君             14番  松田末作君             15番  峠 宏明君             16番  上原 雋君             17番  森 純男君             18番  山口 誠君             19番  船越義治君             20番  島崎光治君             21番  松石聖一君             22番  黒川恵三君             23番  田中美智子君             24番  原田栄子君             25番  中西義次君             26番  山本 清君             27番  吉田文彦君             28番  米澤 保君             29番  堀田征男君             31番  北尾好章君             32番  岡本志郎君             33番  大谷 督君             34番  日和佐穣甫君             35番  小林照代君             36番  横田利孝君             37番  中村誠一君             38番  扇田善次君             39番  小嶋高年君             40番  浅川清一君             41番  中村重信君             42番  和田晴夫君             43番  横井健二君             44番  橋本和信君 欠席議員(1名)             30番  福西 靖君---------------------------------- 説明のため出席した者            市長       大川靖則君            助役       桐木 弘君            助役       山中俊彦君            収入役      岩井健司君            市長公室長    山岡彦一君            企画部長     南田昭典君            総務部長     河村 武君            税務部長     辻 次郎君            市民部長     南 哲也君            民生部長     道地義弘君            福祉部長     高橋央生君            環境清美部長   香村侃彦君            経済部長     村田勝彦君            建設部長     澤井利雄君            都市計画部長   吉田信博君            都市整備部長   吉村隼鷹君            水道局長     辻谷清和君            業務部長     嶋田英隆君            給水部長     木田 享君            浄水部長     木村誠二君            消防長      林 茂樹君            教育委員長    青山 茂君            教育長      河合利一君            教育総務部長   松塚恒彦君            社会教育部長   佃 忠治君            監査委員     吉田 肇君            財政課長     中井正一君---------------------------------- 議会事務局職員出席者            議会事務局長   北尾義次            議会事務局次長            調査課長事務取扱 福田惠一            庶務課長     西村廣彦            議事課長     遠藤忠臣            議事課長補佐   福井 進            調査課長補佐   吉村安弘            議事係長     加井康章            速記       谷口藤男----------------------------------  午前十時三十三分 開議 ○議長(中村誠一君) 休会前に引き続き、会議を開きます。---------------------------------- △日程第一 議案第五十一号 市長専決処分の報告及び承認を求めることについて 外八件(質疑並びに一般質問) ○議長(中村誠一君) 直ちに日程に入ります。 日程第一、議案第五十一号 市長専決処分の報告及び承認を求めることについてより議案第五十六号までの六議案、及び議案第五十八号 工事請負契約の締結についてより議案第六十号までの三議案、以上九議案を一括して議題といたします。 本件につきましては、既に去る十六日の本会議において市長より説明を受けておりますので、これより質疑並びに一般質問を行います。 通告がございますので、発言を許します。 まず、代表質問を行います。 二十四番原田さん。  (二十四番 原田栄子君 登壇) ◆二十四番(原田栄子君) 私は、日本共産党市会議員団を代表いたしまして、ただいまから、通告しました内容について質問をさせていただきます。 まず最初に、昨日、通常国会が閉幕しました。今国会は、自民党単独政権時代でも一国会に一本通るかどうかわからないと言われるような国民に深刻な実害をもたらす悪法が束になって国会を通るという、国会史上かつてない異常な国会でした。少数内閣のもと、国民に九兆円もの負担を強いる消費税の増税、特別減税の打ち切り、医療保険の改悪を初めとする重大案件が、圧倒的な反対世論に背を向けながら、短時間の審議で次々と成立いたしました。五月十一日付朝日の社説でも、「ところてん国会でいいのか」と批判され、国会は言論の府ではなく法案処理機関になったと断じたほどです。 実施後二カ月たった消費税増税だけ見ても、奈良市民の生活や中小零細業者への影響は深刻です。六月の地方紙に、民間調査機関の県内企業の倒産状況集計によると、倒産件数など前年同期に比べ二割増し、しかも零細企業がそのうちの九割強、原因は販売不振型倒産が七五%、昨年の十月から八カ月連続で二けた倒産と報道しています。同じ紙面に、五月奈良市の消費者物価は、前年同期と比べ、光熱、水道が四・六%を初め、教育、食料、被服、履物、諸雑貨と、軒並み二%以上、物価が上昇と報道されています。 今国会での悪法成立に市民の皆さんは、これから私たちの生活、一体どうなるのか、大きな不安を抱えています。この時期に聞かれた定例議会です。我が党は、今議会が、この国の悪政から市民の暮らしを守るとりでとしての役割を果たす、そんな議会でなければならないと考えています。そのためには、地方自治体の本領を発揮して、住民の安全、健康、福祉を守る施策を講じることです。 東京の足立区では、この三月議会で、前区長のもとで計画していた豪華ホテルの建設を中止して、福祉予算を五・八%伸ばし、乳幼児医療の無料化を就学前まで段階的に引き上げたり、予定されていた保育料の値上げを中止し、また産業振興対策費も大幅にふやし、中小企業の緊急融資の新設や利率一%の実施、教育予算も、教材費や学校修繕費等、大幅にふやしました。その一方で、区債発行を半分に減らし、財政健全化を目指しています。同じく、東京の狛江市でも、この三月議会、福祉優先、弱者に配慮した予算が通りました。 奈良市では、今、後期基本計画に基づき実施計画を策定中です。この後期基本計画は、九一年から二〇〇〇年までの奈良市のまちづくりの方向を決める基本構想を具体化するものです。もともと、この基本構想は、バブルのころにつくられたもので、しかも国土庁によって策定された第四次全国総合開発計画、つまり四全総を上位計画とし、その整合性を図るとしています。しかも、多極分散型の国土の構築と言っている四全総によって、一層、東京一極集中が進み、異常な地価の暴騰や、あるいは各地のリゾート開発で、国土の荒廃を招きました。我が党は、当初からこれらの点を批判し、この基本構想に反対をいたしました。後期基本計画では、これらを見直さず、大阪湾ベイエリア計画などを上位計画として、一層、市民生活を無視し、財政破綻の道を進もうとしています。本来なら、後期基本計画に基づく三カ年の実施計画が立てられ、実行されていたはずですが、これができず、今日まで延び延びになった理由の中に、我が党の指摘が正しかったことを実証していると考えています。 そこで、市長にこの実施計画策定に当たって二点、お尋ねいたします。この基本計画は以上の点から見直しが必要です。この点についてお答えください。もう一点は、前段でも述べたとおり、市民の皆さんは苦しい生活を余儀なくされ、そのためには、市民生活の支援がどうしても必要です。この実施計画策定に当たって重点は何か、お答えください。 次に、具体的に数点にわたって、市民生活にかかわる緊急な課題についてお尋ねいたします。 まず、国保の問題です。奈良市の国保は、今、払いたくても払えない高い保険料になっています。まず、市長にお尋ねします。ことし三月予算議会で、九六年度国保会計は一億二千万円の黒字見込みと聞いていました。この五月末で国保会計の出納が閉鎖されました。現在、この黒字分、幾らとなっているのでしょうか。三月の時点との見込み違いは、どこに原因があるのか、お答えください。 今年度、最高限度額が四十六万円から四十九万円に引き上げられました。そのことによる収入増は一億三千万円です。この黒字の見込み違いがなければ、最高限度額を引き上げなくてもよかったはずです。奈良市は、九五年度から国保の黒字分の半分は基金としてため込み、九五年度、三億七千万円の基金になっています。多くの自治体は、この不況の中、基金を取り崩し、国保料の引き下げに充てています。奈良市は逆に基金をつくり、最高限度額を引き上げています。国保の加入者はもともと、中小零細業者や農家の人たち、また無職の人たちや高齢者や低所得者の人たちが多く、奈良市では、加入者の約七割が所得二百万円以下の人たちとなっています。所得二百万円、資産なし、三人家族で、保険料は約二十二万円になります。各自治体では、基金の取り崩しをするだけでなく、一般会計からの繰り入れをふやし、国保加入者の負担軽減の努力をしています。 九六年度、類似都市の西宮市では、一般会計からの繰り入れが約三十三億円、奈良市は十億円です。西宮市の三分の一。三十二ある類似都市の中で、一般会計からの繰り入れは、下から数えて六番目です。西宮市の国保料は一人当たり四万円、奈良市は八万六千円です。西宮市の倍以上になります。その上、西宮市は、保険給付は八割、奈良市は七割です。つまり、西宮市は、国保料は四万円で済み、医療費の負担は二割というわけです。住む自治体で、このような大きな差があります。奈良市も先進都市並みに一般会計からの繰り入れを三十億円行えば、一世帯当たりの国保料は五万円引き下げられるはずです。 市長にお尋ねします。一般会計からの繰り入れを先進都市並みにふやし、基金も、こんなときだからこそ取り崩し、保険料を引き下げるべきだと考えますが、お答えください。もう一点は、減免要綱を公表し、市民に周知徹底を図るべきだと考えます。以上二点についてお答えください。 次に、介護保険の問題です。今国会で、この介護保険は継続審議になりました。今、国民の皆さんは、必要なときに、だれでもが安心して必要な介護を受けられる、充実した介護制度ができることを願っています。我が党は、このような願いにこたえるために、立ちおくれた公的介護の水準を引き上げ、二十四時間対応のホームヘルプ事業や、いつでも利用できるショートステイ、待機なしの特別養護老人ホームなど、在宅介護と施設介護の両面で抜本的な充実を求めてきました。今国会では継続審議になりましたが、政府は、二〇〇〇年スタートを目標に介護保険法を提案しました。 これには、次のような問題が指摘されています。まず第一に、政府案では、在宅介護も施設介護も両面とも受け入れ体制が不備だということ。厚生省でさえ、ホームヘルプサービス等、受け入れられるのは四割だけだと答えています。二点目は、保険料負担は四十歳以上全国民から徴収します。非課税世帯の高齢者や低所得者にとって、大変な負担です。払えない人が出てきます。三点目は、給付対象は、四十歳から六十四歳までの人には加齢に伴う障害に限るとなっています。若年障害者がこれでは除外されます。保険料は払っても、介護は受けられないという状況が生まれます。四点目は、利用時、費用の一割を負担をします。五点目は、運営主体は市町村です。介護の認定を市町村が実施します。これらの点で、自治体にとってもいろいろな問題が出てまいります。 我が党はこれらの問題に対し、次の修正案を提案しました。一つは、受け入れ体制の整備のために、今あるゴールドプランの見直しと国庫補助を増額すること、二点目は、保険料負担については非課税世帯の高齢者や低所得者は免除すること、三点、給付対象を四十歳以上の介護を必要とするすべての人とすること、四点目は、利用料は無料とすること、これらです。 市長にお尋ねします。実施するのは市町村です。まず一点は、受け入れ体制です。現在、既に特養の待機者は五月までで三百四十七人と聞いています。毎月、しかもふえ続けています。ゴールドプランの目標数六百六十ベットでは、現在既に足りません。デイサービスも、現在、待機者六十六人と聞いています。ゴールドプランの目標値の見直しが早急に必要と考えますが、この点についてお答えください。 二点目は、保険料や利用料の支払い能力のない低所得者や無年金者には、どのように対応されるのか。 三点目は、現在、非課税世帯へのホームヘルプサービスは無料です。政府案では、週二回二時間で、月幾らになるのか。また、特別養護老人ホームなどでの費用負担はどうなるのか、払えない場合はどうするお考えか。 四点目は、介護の認定も市町村で行います。認定に関する問題点は、どのような問題があると考えておられるのか、この点についてもお答えください。 次に、公営住宅の問題です。公営住宅は、戦後間もない一九五一年に、憲法第二十五条の生存権保障に基づき制度化され、公団・公社住宅制度と並んで日本の公共住宅制度の中核を担ってきました。今回の法改正は、この公営住宅制度に市場原理を導入し、戦後、勤労者に比較的低廉な家賃で公営住宅を提供し、これがまた民間の高家賃を抑えるなど、曲がりなりにも国民の住居権を保障してきました。今回の法改正では、この制度を変え、住宅市場を補強、補完するものとして、公営住宅の役割を事実上、否定するもので、公営住宅制度の大改悪です。 問題の第一は、法の目的を、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し」のこの「建設」を「整備」に変え、公営住宅の直接供給から、買収・借り上げ住宅制度を新設して、供給方式を多様化しました。今でも少ない公営住宅の建設が、これではさらに後退することになりかねません。 二点目は、家賃の決定方式が入居者の収入と便宜に応じた応能・応益的家賃になり、比較的収入が多く便利な住宅に住む世帯は、家賃が大幅に引き上げられることです。 三点目は、一般世帯の入居収入を年収五百万円から四百五十万円に引き下げて、収入超過を理由に多くの勤労者を公営住宅から締め出すことなどです。 現在、奈良市は市営住宅二千二百二十四戸、うち同和住宅が千三百四十一戸、一般向け住宅はわずか八百八十三戸となっています。市営住宅は全体の充足率約二%、特に一般向け市営住宅になると〇・七から〇・八%と、一%にも当たりません。市民の住宅事情は深刻です。サラリーマン世帯子育て世帯などが低家賃の住宅を探しても、なかなか見つかりません。住宅公団も、古い空き家は申し込んでもなかなか当たらず、新しいところは十万円前後の家賃が必要です。自治体の中には、若者のために民間住宅の家賃補助をしたり、低所得の高齢者には民間のアパートなど借り上げ、安い家賃で提供したり、住民に住まいの保障をしています。 そこで、市長にお尋ねします。一点目は、住宅は人権、福祉です。奈良市の市営住宅は、他都市と比べようもない少ない戸数です。不況でも、せめて安心して住める住宅保障のために、市営住宅の建設を計画的に進め、高齢者や、障害別の障害者住宅の建設も積極的に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、市の条例改定に当たっては、公営住宅法改正の弊害をできるだけ緩和して、居住者が安心して住み続けられるよう努力すべきです。奈良市の現行家賃は、五百円が五十八戸、一万円までが約六割、二万円までが約八割を占め、このままだと大幅な家賃引き上げにつながります。家賃改定に当たって、市が権利を持つ利便性係数を、県営住宅との整合性もあり、難しい問題もあるとは思いますが、家賃の負担にならないよう、できるだけ低く抑える努力をすべきです。また、高所得者への住宅明け渡し請求などは、対象者の実情に即して弾力的に対応すべきと考えますが、これらの点についてもお答えください。 次に、家賃減免制度を、現行の六〇%を八〇%まで引き上げて、減免制度の周知徹底を図ることも必要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。条例改定で居住者の皆さんは、これから家賃、どうなるのかなど不安をいっぱい抱えています。そのためにも地元説明会等、早急に開くべきと考えます。以上の点についてお答えください。 また、県営住宅は高齢者の単身入居も可能です。市営住宅も単身者の受け入れも検討すべきだと考えます。以上の点についてお答えください。 次に、平和の問題です。六月八日、昨年四月の日米首脳会談で決めた安保共同宣言の具体化として、日米防衛協力小委員会が合意した日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しの中間報告が発表されました。中間報告は、日米安保体制をアジア・太平洋全域に広げ、アメリカとの地球的規模での軍事行動に協力していこうという驚くべきものです。その内容は、まさに日本国憲法の基本原則を否定し、憲法施行から五十年間の平和と民主主義の発展に逆行するものです。特に、重大なことは、現行のガイドラインが、日本に対する武力攻撃があったとき日米が共同して戦うとなっている部分を、日本周辺の事態での日米軍事協力となっている点です。つまり、日本の平和と安全に重大な影響を与える事態に至ったとき、共同・加担して警戒監視、機雷掃海、軍事情報提供、施設の使用、補給、輸送など協力して行動することとなっている点です。また、後方支援に当たっては、日本の中央政府、地方公共団体の機関が持っている権限・能力、民間が持っている能力を適切に活用すると述べ、日米共同作戦のため、国の立法や予算、行政面の措置を義務づける内容になっている点も大変な問題です。これでは、憲法が保障する国民の諸権利や自由が規制され、国民を戦争に総動員する有事立法につながりかねません。 また、この動きと軌を一にして、自民、新進、民主、太陽、さきがけは、国会の中で憲法問題を議論する常任委員会の設置を目指し、憲法調査委員会設置推進議員連盟を発足させ、次期国会には法案を提出して、憲法調査委員会をつくり、憲法見直しを行おうとしています。私たち日本共産党は、戦争への道を絶対に許しません。アメリカが引き起こす紛争に、国民、市民を巻き込むことになりかねないガイドラインの見直しは、直ちに中止すべきだと考えますが、市長の見解をお聞かせください。 次に、教育の問題です。教育についても問題は山積しています。その中で、緊急な対応を必要とする二点に絞って質問いたします。一つは、市長の今議会招集のあいさつにもありましたが、子供をめぐる痛ましい事件に関する問題です。連続する小・中学生に対する凶悪事件、通り魔事件など、子供を持つ親だけでなく、広く住民を不安に陥れています。 このような事件から子供たちを守ろうと、各自治体では、地域や学校でいろいろな取り組みが進められています。例えば、生駒市では、生駒署が市の防犯協議会や市教委と連携して「こども一一〇番の家」を創設することを決め、準備を進めています。この家は、ボランティアとして募集して、子供が危険な目に遭ったとき、そこに駆け込むことができます。その家には「こども一一〇番の家」と記した旗が掲げられているそうです。また、御所市では、防犯協会と市が連携して、通学路周辺で登・下校時の監視と警戒を始めています。月ケ瀬では防犯ブザーを持たせるなど、各地でさまざまな取り組みが行われています。 そこで、教育長にお尋ねします。奈良市でも、地域の皆さんと協力して子供の安全を図ることなど必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか。教育委員会としては、どのような対応をされ、また、しようとされているのか、お答えください。 もう一点は、学校給食にかかわる問題です。六月二日、橿原市では、小学生の集団食中毒が発生し、去年、猛威を振るった病原菌「O157」の被害も相変わらず出ています。奈良市だけが無関係の問題ではありません。昨年の「O157」の集団食中毒後、給食の調理に関し点検項目が大幅にふやされ、単に点検項目がふやされただけでなく、業務量が大幅にふえました。現場では、調理員の人数はふえず、業務量が大幅にふえたため、食材の加熱時間が短くなったという声も、中には出ています。ゆとりを持って安全でおいしい給食を子供たちに保障するため、万全の体制が必要です。 ことし四月、文部省から学校給食衛生管理の基準が出され、給食施設や設備、栄養士や調理員の問題など、また食材や献立の問題等々、学校給食にかかわる衛生管理の基準が出ています。その中には、教育委員会は、必要に応じて施設、設備、食材の取り扱い、調理作業、衛生管理体制などについて実態把握に努め、衛生管理上の問題点がある場合には、連やかに改善措置を講ずることとなっています。 教育長にお尋ねします。実態把握するのと合わせ、調理員の増員を図るべきと考えますが、お答えください。また、施設、設備については、調理場は十分な換気を行い、湿度八〇%以下、温度は二十五度以下に保つことが望ましいとあります。夏場の調理場は四十度を超すときもあると聞いています。今年度、調理員の休憩室にはクーラー設置の予算がつきました。調理場にもぜひ、大規模校からでも、このクーラーを設置すべきと考えますが、お答えください。 以上で第一問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 市長。  (市長 大川靖則君 登壇) ◎市長(大川靖則君) 二十四番原田議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず初めに、奈良市の基本計画の見直しと、それから計画の重点は何かという御質問でございますが、御承知のように、平成二年におきまして、奈良市の将来都市像を定めるための新総合計画を策定いたしまして、平成三年度より基本構想に基づいて基本計画の実施をしてまいり、前期五カ年を終えて、今年、平成九年度は後期の二カ年目に入っているところでもございます。したがって、その計画の重点といたすものは、奈良市の持つ特性を生かしたまちづくりと市民福祉の向上であります。また、見直しの必要性についてでありますが、これは、現在の社会情勢を十分に認識しながら、その社会情勢にマッチした計画に沿って見直しをさせていかなければならないと、また現在も、今そういう形で実施を進めているところであります。したがって、後期分の実施計画につきましては、早期にその成案をまとめてまいりたいと思っております。 次に、ちょっと順番が異にするかもわかりませんが、失礼を申し上げます。国民健康保険関係についてでありますが、黒字の見込み違いがなければという御質問もあったのでございますが、これにつきましては、平成八年度の国民健康保険会計の黒字の見込み額につきましても、約五億七千万円の黒字額を見込んでいるところでもございます。その主な内容は、国民健康保険料収入で当初見込みに比べて一億七千万円の伸び、国庫支出金で約二億円の伸び、療養給付費交付金等で約七千八百万円の伸びとなっているところであります。 次に、繰入金をふやすと同時に基金積立金を取り崩して、国保料を引き下げてはどうかということでございますが、国民健康保険財政の健全化を図るためには、いろいろな手だてを講じてもおります。一般会計繰入金につきましては、平成八年度よりも平成九年度は一億円の増額をさせていただいております。今後も諸般の事情を勘案いたしまして、繰入金を検討してまいりたいと思っております。また、財政調整基金の積立金については、将来的な医療費の増嵩に対応できるような、計画的に継続していかなければならないと考えております。基金の運用については、国保に加入いただいております市民の方々の健康増進を図るため保健事業に充てることになっております。安易に保険料の引き下げのためにこれを充ててはならないという厚生省の指導も得ているところでありますので、その点、御了解いただきたいと思います。 国保料の軽減基準を公表してはどうかということでございますが、これは、国民健康保険法第七十七条の規定に基づいて奈良市国民健康保険条例で保険料の減免規定を定めております。したがって、被保険者の方々には、納付書の交付の際に減免規定のあることのパンフレットも同封させていただいて、周知を図らさせていただいておるということであります。 次に、介護保険関係についてでございますが、介護保険関係につきましては、これから高齢者がどんどんと増加をしてまいることでもありますし、そういう増加に伴って介護の問題が重要な一つの課題ともなってまいります。これを社会全体で介護を支えていくという意味から、介護保険制度はぜひとも必要な制度であると、そういう認識に立っているところでもあります。 また、この介護保険制度を導入されますときの受け入れ体制ということについてでございますが、これにつきましては、老人保健福祉計画の、ゴールドプランも持ってございます。それの目標に早く達成していくように、施設の建設等、あるいはホームヘルプサービス、またショートステイ、デイサービス、そういうものの促進を図ってまいらなければならないと存じております。 次に、実施主体である奈良市の問題点についてでありまずが、介護保険制度が導入いたしますと、今後は国の動向も十分に見きわめながら、やはり、その体制も市の組織の中でつくってまいらなければならないと、かように思っているところでもございます。また、介護保険制度は市町村に非常に--導入されると、財政的に負担をもたらせるのではないかということでもございますが、これにつきましては、全国市長会におきましても、各地方自治体に財政負担にならないようにと、そういう申し出を強くいたしているところでもあり、そういう点に立っての介護保険制度の実施をされるものと理解をいたしております。 それから、保険料の徴収についてでありますが、市町村の個別徴収となるのは、大体、六十五歳以上の第一号被保険者のうち、約三割の方々を対象と見込んでおります。その徴収方法については、国民健康保険料や市民税の普通徴収等と同様になっていくのではないかと考えられます。また、利用者負担の金額につきましては、個々のサービス利用の保険単価が、まだ示されておりません。したがって、その点についてはお答えをいたしかねます。 それから、要介護者の認定についてでありますが、介護認定審査会を設置して要介護者の認定を行うこととされておりますが、平成八年度より各府県一カ所の市町村で、モデル事業として認定事務を行っており、これらの結果を踏まえて、介護認定審査会の要綱も定められるものと思います。 次に、公営住宅関係についてでございますが、市営住宅が非常に不足していると、今後の建設計画はどうかということでございますが、現在、老朽化した住宅の建てかえ事業をやっているところでもございます。そのときに、住宅の狭隘している部分については改良し、あるいは増設を図ってまいりたいと。また、現在も建てかえのときに、若干ではございますけれども、その敷地の許す範囲で戸数増を図っているところでもあります。新規住宅の建設は、建てかえ事業が一定のめどがつきましたときに、その辺、十分検討してまいりたいと思っているところでございます。 次に、高額所得者に対する住宅明け渡し請求、事情に即して弾力的に対応されたいということでございますが、入居者が病気にかかっていること、その他特別の事情がある場合は請求を猶予したり、明け渡し期限を延長することも可能であります。したがって、画一的に判断することなく、実情に照らして対応しているということでもございますし、今後は、そういう点は十分に配慮しながら、してまいりたいと思っております。 次に、減免の基準についてでありますが、公営住宅は低所得者に対する住宅の供給を目的としているものでありますので、著しい低所得者に対しては家賃の負担をさらに軽減するため、減免措置を講じているところであります。現在は、基準月収五万二千円以下の場合には、二〇%から六〇%の範囲で減免を行っています。この減免基準の見直しにつきましても、家賃検討委員会に諮問しているところであり、御質問の趣旨についても審議をしていただいているところでございます。 次に、早期に地元説明会を開くなどの、入居者への周知を急ぐべきではないかということでございますが、今回の改正内容の周知を、特に家賃設定方法について理解、認識をしていただけるよう、家賃検討委員会の審議状況も踏まえて、できるだけ早く地元説明会の開催実施をしてまいりたいと思っております。 次に、単身者も入居できる住宅の提供についてでありますが、本市の公営住宅は家族向けの住宅を優先整備をいたしておるところであります。高齢化社会を迎えて、高齢単身者の増加も予想されることから、単身者向けの住宅の整備も今後の重要な課題でもございます。単身者の資格には一定の制限がありますが、当面の対策として、既存の住宅の一部を運用するなどの方法で検討してまいりたいと思っております。 次に、平和行政についてでございますが、集団的自衛権の見直しについては、我が国の防衛の根幹にかかわる問題でもあり、また、国の政治的判断を要する問題でもございます。したがって、一地方自治体で回答できるような問題ではないというふうに思っております。 以上、抜けたところございますか。--以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 まず初めに、最近の凶悪事件に伴いまして、奈良市の児童・生徒の安全確保についてどのように考えているかというお尋ねでございますけれども、本市におきましては、学校、幼稚園に対し、園児・児童・生徒の安全確保や安全対策を最優先に考え、特に、子供たちの登・下校時の安全対策について万全を期するよう、教育現場を指導いたしているところでございます。また、臨時の校園長会を警察の協力を得ながら開催するなど、指導の徹底も図ってまいっているところでございます。一方、各中学校区にございます少年指導協議会にも地域の安全確保に協力をお願いし、保護者や地域の諸団体、警察等の関係機関と連携を深めながら、その通学路や公園を一斉に点検していただくなど、事故の未然防止策を図っているところでございます。今後は、ただいま御指摘いただきましたように、他市の取り組みも参考にしながら、効果的で、しかも継続できる取り組みを検討してまいりたいと、このように考えてございます。 次に、給食調理室のクーラーの設置についてお尋ねいただいているわけでございますけれども、給食調理室のクーラー設置につきましては、昨年、全国的に病原性大腸菌「O157」が発生して以来、加熱処理をする調理が多くなっているところでございます。また、熱風消毒を初め各種の機械の設置が義務づけられておりまして、その設置場所等につきましていろいろな問題がございまして、大変、苦慮いたしておるところでございます。本年度は、ただいま御指摘ありましたように、とりあえず、給食調理員の休憩室にクーラーの設置を予定いたしてございます。既に、学校に入っていると思います。将来的には、この調理室につきましても条件整備をし、一定の見直しを図ってまいりたいと、このように考えてございます。 それから、調理員の増員についてでございますけれども、御承知のとおり、この調理員の配置につきましては、文部省基準を参考に、この文部省基準をやや緩和した内容の奈良市独自の学校給食調理員配置基準によりまして、配置をいたしているところでございまして、だんだんと少子化で児童数が減少する煩向にありますけれども、教育委員会といたしましては、現在の定数の確保に、維持に全力を挙げたいと、このように考えてございます。 以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 二十四番原田さん。 ◆二十四番(原田栄子君) 二問目は自席から行わせていただきます。 まず、実施計画の問題です。今年度、市長は世界文化遺産登録のための努力とか、あるいは障害者に対する施策、一定行ったり、また青年の夢実現のための努力など、一定評価するものですが、ただこれから三年間のですね、実施計画については、やはり今本当に国会史上例を見ない、先ほども申しましたが、悪政が国民負担となって、これからますます押し寄せてくると、そういう状況下の中のこの六月議会だと。その六月議会で、これからの実施計画をどうつくっていくのかということの質問なので、やはりそこのところにきちんと、その点をきちんと認識していただいた上で、ぜひ御答弁いただきたいと思います。市長は九四年九月七日、これは九月議会の招集あいさつの中で、市長自身このように言っておられます。「私は地方自治体の責務は、どんなときであっても市民が安心して暮らしていただくことに大きな使命感を持つことにあると考えております。」と、このように招集あいさつで言っておられるわけです。私は、今こそ、このね、市長の理念をきちんとこの実施計画の中に生かしていただいて、具体的にですね、この財政の、今の奈良市の非常に大変厳しい財政の原因がどこにあるのか、そこにきちんとメスを入れない限り、市民の皆さんの要求は実現できないというふうに考えます。 私が調べたところによりましたら、この基本構想ができる、つくるときですね、ちょうど本当に、先ほど申しましたように、バブルの時期でした。例えば、一九九〇年経常収支比率が七一・〇、九一年七一・三、九二年が七四・九、九三年八三・二、九四年は九二・九、九三・六と、経常収支がずっと上がり続け、公債費率も、同じく九〇年が一三・七、そして同じく九一年も一三・七、九二年が一四・〇と、そして今では一八・八になっています。 私たち共産党は、この財政状況がですね、悪い、この悪い原因が、何でこの財政状況がね、このように悪化してきたのかと、この悪いということだけでね、評価はしないと言っているんです。これが市民の生活を守る、そういうための財政上、このような非常に厳しいものになったんだったら、それはやはり、当然認めなければならないものだし、ただこの原因がですね、この間、ずっと我が党が主張してきましたJR奈良駅前を初めとした拠点整備事業、このまちづくりにあると思うんです。例えばですね、この基本構想を策定する時期には、奈良市の財政のピークは平成七年度だと、そこにこのまちづくりのいろいろな財政負担のピークがそこにあると、そう言ってこられました。 ところが、どうでしょう。今、財政の、起債の、どんどん起債が上がり続けてですね、そのピークというのはどんどん先送りにされています。例えばです。市民ホールは約二百億円ほど、これは、この市民ホールだけで三十年かかって元利償還が行われます。そして、もう既に予算化された事業だけで、JRの人工地盤が十七億円、再開発の地下駐が四十一億五千七百八十六万八千円と、モれとJR西口駐車場が四十六億円と。この市民ホールと人工地盤、それから地下駐、それから西口駐車場、これだけとってですね、約三百億円になるわけです。これはもう予算化されているので、これを今さら取りやめるわけにはいかない事業だと考えますが、ですから、これから残された事業ですね、基本構想で当初計画をされていた、その事業をぜひ見直さない限り、私は一層、市民の福祉や生活支援の予算を削らなければならないと考えます。この点についてぜひ、具体的にどのように考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。 それから、介護保険の問題です。医療保険の改悪が通りました。今、多くの皆さんが、医療費がこれから二倍か三倍になるだろうと。今までもらった薬も飲まないでため込むとか、あるいは食べ物を倹約して病院に行くか、あるいは病院に行くのを控えて、もう食べ物を、好きな物を食べるか、そういうような選択が今、迫られていると、そういうような声も聞かれてます。 そういうときに、片一方ではですね、介護の必要性というのも、本当に皆さん痛いほど感じていますが、この政府の介護保険法ではですね、この法案です--次も継続で審議されますので、当然出てくる問題ですけれども、やはり、今からきちんとね、保険料は取られるわけですよね、この政府案だと。今までだったら、非課税の人たちは、デイサービスを受けるときには要りませんでした。そういう人たちは、これから保険料も払って、サービスを受けるときに、そのサービスの一割は負担しなさい、こういう内容です。そして、これを実施するのは市町村なんです。この保険の費用というのは、一割が、保険者が利用料を負担して、あとは保険料と公費負担でやると言っているんです。公費負担のうち、五〇%は国で、あとの五〇%は、県と市が半々に持ちなさい。それで、徴収は医療保険とか年金から取りますと。ただ、それ以外の人たちについては、取れない分については、市町村が工夫して取りなさいと、こういう内容です。非課税の人たちから、保険料を払えない人たちから、どのような取り立てをされるのか--これは、十二月議会でも我が党の日和佐議員が質問いたしましたが、本当に、市町村がその役割を負わされるわけです。どうされるつもりなのか、これがこのまま通ったら。私は、やはりきちんとね、こんなのでは、このままでは奈良市としては受け入れられないということ、きちんと政府に向かって、国に向かって言うべきだと思うんです。 それで、しかも四十歳から六十四歳までは、年をとって、そのことで障害を持った人じゃなければだめと--逆だったらまだわかりますが。だから、若い人たちの障害を持っている人たちは介護を受けられないし、マスコミでもこの件については、いろいろと報道されています。未納者に対するサービスの戸感いとか、未納者にはサービスをどうするのかとか。あるいは、施設に入っている人たち、今でもこの施設に入っていらっしゃる方、特別養護老人ホームに入っていらっしゃる方たちは、その七五%がほとんど四万円以下の低所得の方だと厚生省でも答えています。この人たちからもね、利用料を取るとしたら、いいですか--これは日経です、五月二十二日付の日経ですけれども、本人負担は月八万円になるんじゃないかという試算をされています。払えない人たちはどうするんですか。施設から追い出すのか。そんなことはできないと思いますが、そうしたら、その費用の負担は、一体だれがするのか。 それから、認定作業も非常に今、何というのかな、いろいろな各自治体でこの認定作業についても、いろんな危惧の声が上がっていますが、本当に大変だと思います。この認定作業というのは、介護がどうか、必要な--審査会というのを設けると言うんですね。この審査会は、市町村がまとめた七十項目に及ぶ本人調査票--これらは一次判定というそうです、それをもとに医師や介護福祉士らの合議制で--これが二次判定だそうです、要介護度を最終的に決めるけれども、手順が複雑で、一、二カ月しても結果が出ないことも考えられると。緊急時は審査を待たずにサービスを提供してもよいと、東京都の本部ではそのようなことを言っているそうですけれども、まあ混乱は免れないだろうと、そういうことが報道されています。 それと国保の問題です。前向きの御答弁いただいたと思いますが、ただ、やはりこの国保の問題についても、やはり国がもっとね--本来、国の事業です。国が責任を持たなければならないのに、国がこの間ずっと、人件費や助産費など、一般会計などの交付金にする形で削ってきています。そこにそもそも問題があると思うんですけど、一般会計からの繰り入れということではですね、大体、この国民健康保険法という、これがね、国保法の第一条で、こんなふうに書いてあるんですね。「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と。だから、これはいつも言いますように、相互扶助じゃなくって、社会保障の一つとしてね、この国民健康保険があるんだという認識が必要だと思います。それと、そういう立場でですね、これは、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」と、国の責任をきちんとここで明記しているんです。 ところが、この間ずっと、国がこの国保法を改悪してきました。そういう中で、加入者の本当に負担がふえています。今、払えない人たちには、奈良市でも保険証を未交付にしたり、あるいは、交付しても短期の保険証を交付しています。私はこの短期とか取り上げというのも、やはりしてはならないと。今、片方では、医療保険の改悪でですね、本当は国民に責任がない--世界に例を見ない高薬価がこの保険財政を大変なものにしているのに、そこにはメスを入れないで、国民にその負担を一方的に押しつけている。そういう中で、大変な状況があるのに、保険料を払わなかったら保険証ももらえないと。全国でも本当に痛ましい例が出ています。奈良市もそのようなことで有名にならないように、私はぜひ努力していただきたいと思います。 それから、住宅の問題です。この市営住宅の問題も、奈良市は本当に他都市と比べて市営住宅が少ないんですね。お隣の大津とか、あるいは和歌山と比べても、その二分の一から三分の一しか奈良市は公営住宅を持っていません。今までのこの議会での答弁では、奈良市はそれにかわる公団住宅があるからと、他都市には例を見ないほどたくさんの公営住宅が、そのかわりあるんだと、だから奈良市営住宅が少ないんだと答弁されています。私は、今、住宅公団の住宅がですね、非常にやはり高いと。本当に、民間並みの家賃払わなければ、新しいところは入れないということで、若い人たちが結婚するときに本当に住まいを、自分たちが生活できる、家賃を払える、そういう住宅を探すのに大変な思いをされています。ぜひ、東京などがやっているような家賃補助とか、それから、高齢者には、先ほど申し上げましたが、借り上げ住宅、そういうこともあわせて積極的にやはり市営住宅の拡大を計画していただきたいと。 それと、建てかえで、そのときに戸数をふやしているとおっしゃいましたが、同和住宅については、建てかえで戸数がふえていません。それは、同和住宅は同和に限るということが一つあるために、戸数をふやせないんだと考えます。ぜひ、この部落の問題を一日も早く解決するためにもですね、同和住宅も戸数を本当に思い切ってふやして、一般の人たちが入れる、同じように入れるようなね、そういう住宅建てかえを計画すべきだと思うんです。 抜けている点がいろいろあると思いますが、これで第二問、終わります。 ○議長(中村誠一君) 市長。 ◎市長(大川靖則君) 実施計画についての、これからの残されたものの見直し等についてはどのように--具体的にひとつ答弁せよというようなことでございますが、奈良市は、御承知のように、国際文化観光都市でもございます。そういう名のもとに、やはり奈良は奈良らしいまちづくりをしておかなければいけないと。先人たちが築かれた奈良のまちをそのまま手をこまねいて置いておくということになれば、やはり何の発展性もないと。したがって、拠点整備事業も実施をしていかなければいけない。これは、私がいつも申しておりますように、どうしてもやらなければならないものは、やはりやっていかなければいけないと、そういう観点に立って、まちづくりをさせていただいていると、これが一つのハード面でもございます。 ソフト面におきましては、やはり少子化時代そして高齢化社会というようなことでもあり、そうした問題の取り組みについては、やはりこれも積極的に実施をしていかなければいけないと。したがって、青少年の健全育成等につきましては、私は、まちづくりは人づくりと、そういうものを市政の重点施策に盛り込み、また、高齢化社会の対応につきましても、やはり本当の、ばらまきの福祉じゃなく、心から、長年の社会に対しての、貢献してくださった方々に対する感謝の気持ちを込めた、やはり福祉施策も実施をしていかなければいけない。そのほか、私がこの前申しておりますように、どんなときであっても、やはり市民が安心して暮らしていただけるような、そういう施策をしていくのが、これはもう当然のことであります。したがって、苦しい財政状況の中、これをいかに乗り切っていくかと、また、いかに財政配分を適正にやっていくかと、そういうことに留意をしながらのまちづくりをさせていただいているというようなことでございます。よろしくお願いいたします。 あとは御意見でございましたように思いますが、また、御意見のものについては、十分に検討させていただきたいと思います。 ○議長(中村誠一君) 二十四番原田さん。 ◆二十四番(原田栄子君) いろいろと二問目で質問した件については抜けておると思いますけれども、三問目、最後の質問をします。 これはきょうの、すいません、赤旗新聞なんです。これにこのような記事が載っています。愛知県の清洲町議会では十八日、本会議を開き、町長が就任後、初めて提案した清洲小学校のトイレ改修、清洲公園の設計委託料、国民健康保険特別会計繰出金増額など総額二億二百七十一万三千円の一般会計補正予算案、全会一致で可決しました、こういう記事が載っています。そして、この補正予算については、閣外協力の議員さんなども清洲の家計画を中止し--これは、清洲の家というのをそれまでの町長さんのもとで計画されていたわけですが、これに莫大なね、町の財政がつぎ込まれるという計画でした。この清洲の家計画を中止して国に起債や事業認可の取り消し手続をした町長と町執行部に対し、勇気ある決断と、事務処理は適切、敬意を表すると述べておられます。そして、この補正予算の内容は町民の生活に直結するものということで、賛成をされています。 私は奈良市でもね、同じことが言えるんじゃないかと思うんです。ぜひ、市長がおっしゃってた、本当に市民にとって必要なものは、たとえどんなときでもやっていくんだと言った、その市民の必要と考えている、その内容が、私たちと、もしかしたら市長と違うのかもしれませんけれども、ぜひ、奈良市がとっている世論調査などにも、市民の願いというのが示されていると思います。よく酌み取っていただいて、生活支援の予算をね、やはりこの実施計画の中で思い切ってとっていただきたい。 この間、私は、福祉は後退していると思っています。就学援助金の認定基準が引き下げられたり、それから福祉奨学金は福祉だから、福祉制度に限ると枠を狭めたり、それから保育所の問題、待機者が本当にまだ解決しません。不況の中で働かなければならないお母さんが、子供をどうしようか、私たちのところにもたくさん相談が寄せられますが、担当課の課長も本当に大変な思いをしておられます。でも、新しいところはつくらない。お金がないというわけです。私はそうじゃなくて、お金の使い道に問題があるんだと、我が党は主張しているとこです。ゴールドプランも早急に--これが実現したとしてもですよ、目標値が達成したとしても、現に今でも足りないんです。要求がもっとふえ続けているんです。これも早急に、この目標値そのものを見直す必要があります。 それから、中小零細業者の皆さんの、その営業を守る手だて、今回は具体的な質問はいたしませんでしたが、この点についても本当に今、多くの自治体が緊急対策委員会などを、市長が先頭になってつくって、中小零細業者の皆さんの営業を守るという対策が検討され、講じられているわけです。 それで、最後に平和の問題だけ一つ。ことしもまた終戦の八月がやってまいります。一昨年は終戦五十周年ということで、多彩な取り組みが行われました。また、毎年、原爆パネル展や映画の上映など行われていますが、市民の間でも、この月は平和の取り組みが行われています。このような市民団体とも協力して、より充実したものにしていく考えがないかどうか。それから、平和を考える講演会やピースコンサート、戦争体験記の募集や発表会など開催し、平和の問題の市民への啓蒙や啓発、こういうことに努めてはどうかと考えます。先ほど申し上げましたように、今、本当に国では憲法の第九条まで変えてしまおうと、そして有事立法も検討すると、このような大変な時期です。今、私はこの平和の問題を市民全体で考えるという意味の大きさ、意味が本当に大きい時期だとも思います。ぜひ、このことも検討していただきたいと、この点については要望しておきます。 以上で私の質問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。  午前十一時四十五分 休憩   午後一時四分 再開 ○議長(中村誠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。---------------------------------- ○議長(中村誠一君) 代表質問を続行いたします。 七番金野君。  (七番 金野秀一君 登壇) ◆七番(金野秀一君) 私は、公明奈良市議団を代表いたしまして、通告をいたしております数点について、市長並びに教育長にお尋ねします。 地方分権の推進が時代の大きな流れとなっている今日、地方公共団体の果たすべき役割は、ますます重要となってきております。 国、地方を通じて行政改革を強力に推進していくこととなっている中で、政府は、財政健全化を推し進めるため、財政健全化目標を昨年十二月十九日に閣議決定を見ました。その内容は、我が国は二十一世紀に諸外国に例を見ない超高齢化社会を迎えようとしている。現在の財政構造を放置し、超高齢化社会のもとで財政赤字の拡大を招けば、経済、国民生活が破綻することは必至である。このような事態を回避するためには、経済構造改革等とともに、財政構造改革が急務である。このため、国及び地方の一体となった取り組みにより、まず、公的債務残高の対GDP比の上昇をとめ、その後、最終的には、公的債務残高が絶対額で累増しない姿を実現していくことが必要である。二十一世紀の活力ある豊かな国民生活を実現するとともに、子供たちや孫たちに対する責任を果たすために、財政健全化の努力目標を設定するとともに、その方策についての原則を定め、財政構造改革を強力に推進することとなっています。 これを受けて、橋本総理大臣を議長とする財政構造会議が開かれ、三月十八日には、総理から財政構造改革五原則が示され、歳出の改革と縮減の具体的方策を議論するに当たっての基本的な考え方の取りまとめがあったことは、御案内のとおりであります。また、今日まで、財政構造改革会議企画委員会において、財政制度審議会からのヒアリング等が行われ、近日中には結論が出されるものと聞き及んでおります。 財政構造改革五原則の中にも、当面の平成十年度予算においては、政策的経費である一般歳出を対九年度比較マイナスとする。また、歳出の改革と縮減の具体的方策をするに当たっての基本的な考え方として、地方財政について、地方単独施策等を抑制する等により、地方財政計画の策定に当たって、国と同様に一般歳出を抑制する等の地方財政健全化方策を検討することとなっております。 我が奈良市におきましても、七年度末の起債残高は、一般会計、特別会計を合わせますと一千六百五十億円、八年度末には一千八百十五億円になると聞き及んでおります。この額は、平成九年度の当初予算額の一般会計、特別会計を合わせた一千七百三十億円よりも上回った額となっております。 平成十年度予算では、既に、継続費、債務負担行為設定済みの市民ホール建設事業、西部生涯スポーツセンター屋内施設建設事業、公営住宅建設事業、JR奈良駅人工地盤及び駅前広場整備事業、学園前駅南地区市街地再開発施設建築物新築事業等の予算措置が必要となり、ついては、起債の増加も見込まれることとなります。 これらの事業を進める上で一定の理解はしておりますが、今後は、国からの補助金も削減されることになると考えられますし、自主財源である市税の伸びも余り期待できない状況の中で、大川市長は、今後どのような行政運営を行っていこうと考えておられるのか、御所見をお伺いします。 次に、職員採用についてお尋ねします。市職員の採用計画について、さきの三月議会において、我が党北尾議員の代表質問の中で、一般事務職の採用が三年間見送られていること、そのことにより、職員の年齢構成上、問題は生じないのかなどの質問に対し、市長からは、事務処理の簡素化、OA化などを推進し、行政の多様化、高度化に的確に対応し、住民サービスの低下を招かないよう、効率的な行政運営に努める旨、回答をいただいたところでありますが、その回答を踏まえて、来年度、すなわち平成十年四月採用の採用計画については、どうされるのか、お尋ねします。 次に、災害時における市民ボランティア活動についてお尋ねします。阪神・淡路大震災やロシア船重油流出事故における市民ボランティアの活動が、現場の復旧や医療補助や被災者救済に大きな役割を果たしたことは、周知の事実であり、さまざまな問題点も指摘されておりますが、その後の社会活動に大きな影響を与えたことも事実です。今後は、災害時において、市民ボランティア活動抜きでは考えられないのではないでしょうか。 事実、その後の各自治体の防災計画にも、市民ボランティアの受け入れ体制、活用、連携方法を盛り込んでおりますが、奈良市においても、阪神・淡路大震災を教訓として、現在、地域防災計画の見直し作業を進めておられると聞いておりますが、その中で、市民ボランティア活動については、どのような位置づけをされ、制度化されようとしているのか。また、災害時だけでなく、日常的に市民ボランティアを確保し、連携をとっておくことも大切なことであると思いますが、その点もあわせてお答えください。 次に、消防行政についてであります。本市の消防は、平素から予防消防を積極的に進め、年次的に消防力の充実強化を図られるなど、消防、防災を万全とするため日夜、御努力されておられますことに対し、敬意を表するところであります。 近年、全国各地で多くの災害が発生しております。幸いにして、本市では大規模な災害は起こっておりませんが、災害は忘れたころにやってくるという言葉がありますように、油断禁物、安心してはおられません。 奈良市は、世界に誇る文化財が多数点在しているとともに、市街地整備等による中高層ビルの増加など、近代都市化が進むという二面性を有しております。特に、このたび文化庁において、東大寺、興福寺、春日大社を初めとする市内の歴史的建造物群などを古都奈良の文化財として、ユネスコの世界遺産条約に基づき、世界文化遺産に推薦されることが決まりました。まことに喜ばしいことでありますが、一方では、これらの文化財を守るための防火・防災対策がさらに重要になってくると思われます。 そんな中、去る五月二十九日、転害門近くの東包永町において、最近にない大きな火災が発生しましたが、懸命の消火活動によって延焼を最小限度に食いとめられましたことは、不幸中の幸いでありました。 そこで、市長にお尋ねいたします。文化財建造物等に対する予防・防災対策を今後どのように進めていかれるのか。また、東包永町の火災現場に市長もいち早く駆けつけられ、不安におびえる住民を勇気づけ、消防職員を激励されていましたが、その姿に多くの人が感銘を受けておられました。そこで、現場に立ち会われ、住民の声を聞かれ、どのような御感想をお持ちになられたかをお聞かせください。 続いて、東包永町の火災は、一部の新聞によりますと、通報が非常におくれたことと消火栓が不足していたことなど、問題点が幾つか挙げられておりますが、火災の概況と防御方法等について、また、これらを踏まえての教訓と今後の対策についてお答えください。 次に、奈良市では、平成六年三月に障害者福祉基本計画を策定されました。これは、長期的視野に立った基本的な福祉施策の目標を示すものであり、障害者が自立した生活を営むためのノーマライゼーションの理念と、人間としての尊厳を回復し、生きがいを持って社会参加できるリハビリテーションの理念を基本としたものであります。この計画は、障害者にとって、生きていく上での極めて重要な指針であり、評価している一人であります。 この基本計画をより一層実効あるものにするには、具体的な年度別目標値を出し、数値化をし、そのタイムスケジュールが必要と考えます。しかし、本来は広域的な行政配慮における県の具体的な数値が示されてしかるべきですが、いまだに示されていない現状から、奈良市独自で推進に向けての具体化を進めることが大切だと考えますが、市長の御所見をお伺いします。 その際、障害者の幼児期から就学期、就労期、そして高齢期と、一人の人間としての人生を時系列でとらえ、その人に対して、いつ、何が必要か、どんな施策が、どんな施設が必要かという視点を持って実態調査やヒアリングを行い、現状と比較をし、障害者福祉基本計画を策定、実行すべきと考えますが、あわせて御所見をお伺いします。 次に、具体的な事項について数点、お尋ねします。まず第一点は、養護学校を卒業した子供たちの進路について、相談事業を含めて、今の施設で十分とお考えか、また、今後の方向をお尋ねします。 二点目、奈良市では、作業所においてつくられる授産品を月二回、マーチャントシードセンターで販売することを支援されておりますが、臨時的な販売ではなく、常設の共同販売店を人通りの多いところに設置するための支援が必要と考えます。授産品を商品としての価値を高めるために、商品パッケージデザイナーや製造技術者や販売管理士などの専門的、技術的な職業の人たちが、各作業所に出向き、アドバイスをする専門家派遣事業を導入するお考えはないか、お尋ねします。 三点目、家族の負担を軽減するためのショートステイ施設は、十分とお考えか、また、施設の今後の増設の予定をお尋ねします。 第四点目、最近、障害者施策を高齢者施策や施設で対応するなど、重複または補完し合う事柄が多くなってきておりますが、福祉施策を企画する部門が必要と考えますが、御所見をお聞かせください。 五点目、脳性小児麻痺などの重度の全身性障害者や重度重複障害者への介護支援が必要と考えますが、全身性障害者介護派遣事業導入が必要と考えます。特に、これらの人たちに対するガイドヘルパー導入について御所見をお聞かせください。 大川市長の発案の音楽療法士創設に見られるように、全国自治体の先駆けとして行われた施策は大好評で、今後の期待も非常に大きく、先日の六月十二日、毎日放送の諸口あきらの番組でも取り上げられ、大好評で、評価をされておりましたが、市民福祉の充実に力点を置かれる市長として、先ほどの五点の質問は、市民の方々の切実な質問ととらえて、積極的な御答弁をお聞かせください。 次に、環境清美についてお尋ねします。奈良市では、年々増加するごみの減量対策の一つとして、空き缶・ガラス瓶の分別収集や食品トレーの回収、また古紙などの集団資源回収への助成を行い、資源を有効に利用し、環境保全にも寄与するリサイクルを推進されてこられた結果、環境問題やごみ問題に対する意識が高揚し、年々リサイクルが推進されてきております。 中でも、古紙については、さきに開かれた教育厚生委員会でも、平成八年度の再生資源回収実績は、平成七年度を上回る古紙量を再資源化されたと報告を受けました。近年、古紙の回収については、全国的に市町村の主導により、自治会を単位とする地域的なリサイクル運動により、面的な広がりをつくり、安定的で効率的な回収システムが普及し、排出される古紙の四〇%が集団回収でリサイクルされている状況と言われています。 しかし、現在、慢性的に古紙の供給過剰に至り、資源として回収された新聞、雑誌、段ボールといった古紙類の行き場がなくなり、古紙を取り巻く需給バランスが崩れ、買い取り価格が暴落しており、関東地方では雑誌の引き取りを停止せざるを得ない状況であり、関西地方においても大変深刻な事態を迎えております。 今後、さらに古紙の価格が低下すると、今日まで築き上げられてきたリサイクル制度が崩壊するとともに、回収業者が事業の廃止に追い込まれる可能性があります。古紙回収業者が事業を廃止すれば、行き場を失った古紙等の紙搬出量が一挙に増加し、市において古紙の資源回収を全面的に実施しなければならなくなるとともに、大量の古紙類が焼却場へ持ち込まれることになります。そうなると、市で回収、焼却処理をするための財政負担が急増する可能性が懸念されます。そこで、奈良市として、どのように考え、どのような対策を考えておられるのか、市長にお尋ねします。 次に、事業系ごみについてお尋ねします。奈良市の平成八年度のごみ搬入状況を見ますと、総搬入量は十三万六千六百九十一トン、そのうち事業系ごみが五万二千九百九十七トンで三八・八%を占めており、また平成七年度との比較においても、家庭系ごみに比べて高い増加率を示しております。この事業系ごみの排出抑制、再利用、資源化を促進するためにも、事業所別分別指導や事業所別再資源化取り組みへの啓発・啓蒙指導が必要ではないかと考えます。ごみ処理コストの関係では、容器包装リサイクル法にも製造者責任が明確にうたわれておりますし、オフィス系ごみの増加傾向や分別の必要性も指摘されているところです。 そこで、ごみ処理コストの関係で、事業系ごみ処理手数料の適正化が必要であると考えます。先般の三月議会において、我が党の代表質問に対しまして、市長は、事業系ごみ処理手数料については、排出者責任の原則に基づいて処理経費等を勘案し、適正化に向けて早急に検討していくとの答弁をされました。そこで、市長に、現在どのように事業系ごみ対策を検討しているのか、お尋ねします。 次に、観光行政についてお尋ねします。観光客の減少が叫ばれて久しくなりますが、本年度の事業において、観光ガイドボランティアの創設や旅館施設の改善に対する利子補給制度を創設し、施設改善の促進を図られるなど、積極的な取り組みを評価しております。 観光客の減少の原因については、さまざま言われておりますが、体験学習的な施策の必要性を市長も述べておられますが、体験学習的な施策についてお尋ねします。 今、私の知るところ、アメリカでは、チルドレンミュージアムという、子供たちが触れる博物館、さわれる博物館が好評を博し、静かなブームを呼んでおります。それは大きな箱物の博物館ではなく、子供たちが手で触れる、また物の仕組みがわかるように展示をされているのが特徴となっています。例えば、チルドレンミュージアムでは、その中にマンホールを設置して、その中がどうなっているのか冒険させてみたり、壁の中を見せるように断面構造にしてあったり、電話機の構造をさわって見せるとか、日常生活の中にある物の仕組みを触れて体感できるような、とにかく好奇心をくすぐる仕掛けを、小さな家であるとか部屋のコーナーで体験をさせております。 そこで、チルドレンミュージアムとは少し違いますが、歴史と伝統を有する奈良市の文化を紹介するミニ博物館として、市民の協力をいただいて、例えば、「がんこ一徹長屋」のようなものや、お店の一角で筆づくりの工程を展示しているところや、奈良団扇、奈良晒、蚊帳づくり、びょうぶづくりの工程や道具や作品を展示していただき、歴史と文化を体験できる施設を、統一した名称、例えばコミュニケーションミュージアムとしてつくるのも、新たな体験学習的観光資源づくりの一つではないかと考えますが、御所見をお伺いします。 また、関連して、商工労政課の所管になりますが、第二期基本計画にうたわれております伝統工芸館の企画も進んでいることと思いますが、この施設の中にも体験的な方策をどのように取り入れていかれるお考えか、お尋ねします。 次に、観光とは、結局、人を呼び込む仕掛けづくりだと考えます。そこで、全国規模の薪能の開催を企画するとか、日本・中国・韓国書道展開催とか、一過性のイベントではなく新たな行事を毎年継続するとか、世界遺産登録が実現した段階で、毎年十カ国ぐらいの世界遺産都市を集め、世界遺産都市サミットを開催するなど、「人にやさしく」「事にやさしく」「物にやさしく」をモットーに市政を推進される中で、事づくりの観光企画を創出することにより、また、そのことによって人づくりも実現すると考えますが、市長の御所見をお尋ねします。 次に、河川の環境整備についてお尋ねします。現在の河川は、治水、利水の役割だけでなく、潤いのある水辺空間や、多様な生物の生息・生育環境としてとらえられるとともに、地域の風土と文化を形成する、個性を生かした川づくりが強く求められているものであります。このような河川制度を取り巻く状況の変化に対応して、建設省では河川法を改正し、河川環境の整備と保全が新たに位置づけされたことにより、今後の河川行政は大きく変わっていくものと期待するところであります。 本市の河川は、古く万葉集にもうたわれ、日本人の心のふるさととして、自然が豊かで、安らぎのある、清流に親しむ河川であったものと想像されますが、しかし、近年の宅地開発により、河川の環境が著しく悪化しているのが現状であります。 その中にあって、奈良市の中心部を流れる佐保川は、多くの住民や団体が環境整備に努力をされ、水質の改善が見られ、魚類の種類もふえ、両岸の桜も市民の安らぎとなっております。 また、平城宮跡の東側を流れる菰川も、かつては、万葉人がこの川の水で曲水の宴を催すといった、のどかな川として親しまれていたものと考えますが、現在は、周辺地域の市街化により、生活排水の流入、工場排水等の原因でヘドロが堆積し、夏場の一時期には悪臭さえ漂うことがあるほど住民の生活環境を損なっている状況であります。県、市では、菰川の水質改善に向け、一定の取り組みをされておられると思いますが、万葉の清流を取り戻し、市民に親しまれる川として、河川環境の整備をより一層進める必要があると思いますが、市の今後の改善対策についてお尋ねいたします。 また、佐保川にかかる大宮橋の欄干が、現在、事故のため無残な姿を露呈しております。本来、県の所管事項と考えますが、その改修工事を機に、白いペンキ塗りの何の変哲もない橋ではなく、奈良市の中心にかかる橋として、また歴史的な佐保川にふさわしい橋への改善を県に要望されるお考えはないか、お聞かせください。 次に、まちづくりについてお尋ねします。本市は、国際文化観光都市として標榜されてから、本年十月を迎えますと、丸四十七年になろうとしております。この間、国際文化観光都市として、一定の成果と役割は果たしてまいったと思っております。 しかしながら、近年、奈良市を訪れる観光客は、激減の一途をたどっております。この現状に、市長も憂いておられることと推察いたします。 国際的にも真の文化観光都市として認められ、また市民の心も、かけがえのない財産を奈良市民は持っているんだよと再認識をしてもらうため、さきの世界遺産登録を決断され、その推進を図っておられることは、我々といたしましても非常に喜ばしいことと思っております。国際的な観光都市として今後もさらに発展させ、世界遺産登録を意味のあるものとするためにも、世界の主要な観光都市は、リーダーの強力な指導力のもと、絶え間なく観光地としての魅力を引き出すために、行政、市民が一体となり努力をしているように、この行政と市民が一体となって努力することが、国際文化観光都市としてのまちづくりではないでしょうか。 本市もJR奈良駅周辺や近鉄西大寺駅周辺等で事業をしておりますが、行政のみの力では魅力ある都市はできません。行政と市民の協力が一体になったまちづくりが不可欠であります。この行政と市民が一体になったまちづくり、言いかえると、市民参加のまちづくりを進めるためには、市民の意識と熱意と知識の向上が求められますし、行政もまた、その受け皿として、体制の整備や柔軟な発想や創造性を発揮し、熱意と忍耐と、そして自分も一市民との発想で、より大きな立場で改革をしていくことが大切だと考えます。 市長が常々、まちづくりは人づくりとおっしゃっておられますが、まさにそのとおりだと思います。そこで、市制百周年を来年に迎え、三年後には特別立法制定五十年を迎える節目に当たり、市民参加のまちづくりを進める国際文化観光都市として、さらなる発展を遂げるために二点、お尋ねします。 まず一点は、国際文化観光都市・奈良として、市民参加のまちづくりを進めていく上において、観光、都市計画、福祉、教育等、多岐のセクションにわたることから、組織、体制を整える必要があるのではないでしょうか。 二点目としては、市民参加のまちづくりを進める一歩として、地域住民のまちづくりリーダーを養成する必要があることから、行政主導でまちづくりリーダー養成学習会を開催してはどうか。無論、それぞれの地域においてまちづくり協議会が設立されれば、一定の活動支援等を考慮し、行政と住民が一致して積極的にまちづくりに参加し、将来の国際文化観光都市・奈良としてのまちづくりを行うことが最もふさわしいと思いますが、市長の御所見をお伺いします。 次に、教育長にお尋ねします。市長は常々、まちづくりは人づくりを標榜され、人材の育成を重点目標の一つとして市政を運営してこられましたことは、高く評価をしております。そこで、その事業の一つとして推進されております学校園活性化事業についてお尋ねいたします。この事業は、奈良県内はもとより、全国的にも脚光を浴びている特色ある事業として、また大川市長の、未来を担う子供だちと、その子供たちをはぐくんでいただく先生方への熱い思い入れが凝縮した事業であると理解をしており、学校側でも、自由裁量予算として好評を博しております。予算的にも、財政状況の極めて厳しい中、平成九年度も増額されている単独事業としては数少ないものの一つで、その積極的姿勢を高く評価しております。そこで、この事業が、予算にふさわしい、また市長の思いを実現した事業として、どのように運営されているのか、お尋ねします。 次に、各学校・園への予算配分の基本的なスキームについてお尋ねします。これまでの二年の実績と平成九年度の事業計画を通して、昨年十二月の決算特別委員会などの委員会で成果表が発表されておりますが、この三年間で、予算使用の項目にも一定の傾向性が示されてきているのではないか、そして一定のカテゴリーに分類されてているのではないかと考えます。例えば、施設改善・充実に充てられたもの、教職員の資質向上に使用されたもの、子供たちの情操教育に使用されたもの等、教育委員会はこの一定の傾向性の事業に対し、学校園活性化予算というのではなく、一般予算に組み込み、自由裁量の活性化予算は別の予算として計上するお考えはないのか、お尋ねします。あわせて、今後も継続して、この事業をお続けになるお考えがあるかどうかについてもお尋ねします。 教育行政の第二点目は、学校校舎のハード面についてお尋ねします。阪神・淡路大震災の分析によって明らかとなった活断層は、我が奈良市にも存在し、その活動が地震につながっていることを考えるとき、奈良市としてもハード・ソフト両面からの対応は、常々怠ることができません。特に、多数の市民が集合する施設の地震対策は、行政上、最も重点的に取り組まねばならないと考えます。 国においては、この大震災後、速やかな法整備を進められ、その中で、建築基準法の改正、建築物の耐震改修の促進に関する法律の制定が行われました。これを受けて、文部省では、昭和五十六年の新耐震設計基準に基づかない学校校舎に対し、耐震診断の実施を義務づけております。奈良市では、他都市に先駆けて、平成七年度から校舎の耐震診断を実施されていることに対し、一定の評価をしているところであります。 そこで、以前の議会答弁の中で、大規模改造、すなわち老朽化対策事業と耐震補強事業を一体的に進めるとの答弁がございましたが、現在、この事業は、どのような進捗状況になっているのか、また今後どのように進められるのか、その事業計画についてお聞かせください。 最後に、学校における廃棄物の処理についてお尋ねします。学校での適正な廃棄物処理は、予供たちへの環境教育の一環としても重要な意味を持つものであると考えます。子供のころから分別収集、リサイクルに関心を持って率先して取り組む姿勢を養うことは、教科の教育に匹敵する大切なことであります。 そういったことも含めて、このほど、文部省が、学校での廃棄物の処理の状況について調査を行うとのマスコミ報道がありました。この調査のもう一つのねらいとしては、学校のごみ焼却炉から排出されるダイオキシンとのかかわりもあるとされております。従来から、教育委員会としては、分別収集を初めとして空き缶類のリサイクルを進めておられ、これに対する奨励措置もあるとお聞きしております。そこで、この調査の内容と状況について、どのようになっているのか、お尋ねします。 以上で私の第一問は、終了します。 ○議長(中村誠一君) 市長。  (市長 大川靖則君 登壇)
    ◎市長(大川靖則君) 七番金野議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず初めに、財政構造改革についての御質問でございますが、行財政改革を推し進めることについては、従来にも増して財源の重点的、効率的な配分を行い、全体としては、歳出を抑制していかなければいけない、これは、申すまでもなく、そのとおりでございます。 その視点といたしましては、まず人件費の問題がございます。現在及び将来の財政事情を展望すれば、定員の適正化を考えていく必要がございます。また、投資的経費につきましても、今後の単独事業につきましては、経済の動向を踏まえながらも、その必要性について十分に吟味をしていくことが大切でございます。一般行財政経費についても、既存のものを含めた事業全般にわたって再検討を行い、節減・合理化に努めてまいらなければならない。したがって、私は常に申しておりますように、ぜい肉を落とす行政姿勢をしっかりとはぐくんでいかなければいけない、そして健全化を図っていかなければいけないと、このように思っているところでもございます。 次に、市職員の採用計画について大変、御意見いただいたのでございますが、定員適正化については、自治省の厳しい指導がございます。平成七年度から十一年度までの五カ年の定員適正化計画を策定し、平成十一年度の最終には、職員の数を三千六百人と、もう定められているところでもございます。平成九年四月現在の職員数は、三千六百六十人となっております。したがって、採用計画については、定年退職者数などを考慮しながらも、必要性、緊急性の高い行政需要に対しては増員を図り、減員すべき部門については常に職員数を見直しをして、効率的な行政運営の推進を図ってまいりたいと、かように思っている次第でもございます。 次に、防災計画の見直しについてでございます。火災時におけるボランティア活動についてという御提言もございました。火災時のボランティア対策については、防災計画見直しの主要項目として、防災会議専門委員会の委員の方々の御意見を得ながら進めているところでもございます。したがって、阪神・淡路大震災のボランティア活動の問題点もあるやに聞き及んでおりますし、その辺についても十分に参考にしてまいりたいなと、かように思っているところでもございます。 私は、平常時から、常に、いざ有事のときの対応としては、やはり女性の活躍というものが大変必要性をもたらすものであるというようなことで、最近、地域婦人団体の加入率が非常に低下をいたしておりますし、また日赤奉仕団の団員も減少の傾向にもございます。したがって、ボランティア精神のある方々には、ぜひともやはり御婦人の方は、この地域婦人団体あるいは日赤奉仕団の団員として御加入をいただき、そういう組織立ったボランティア活動をしていただきたいなと、かように思って、そういう方向の指導も、また啓蒙もさせていただいているというようなことでもございます。 次に、火災予防について、その一つとして、文化財の防火行政の考え方ということでございます。国際文化観光都市としての使命から、全庁的に文化財保護に取り組んでおりますが、さらにこの文化財を後世に継承していくためには、防火・防災行政を強く推進していく必要性がございます。万一の大規模災害等に備えて広域的な応援体制も進めており、これまでに、昨年の五月七日には、奈良県下十三の消防本部が相互応援協定を締結したところでもございます。そしてまた、世界文化遺産登録になろうといたしております、かけがえのない文化遺産につきましては、やはりこれは、まずそういう防火体制を整えていかなければいけないと、そのように考えております。 次に、東包永町の火災について、市長としての感想はということでございますが、私も深夜、現場に行かせていただきましたが、大変、あの火災の状況を見たときに、本当に火災というものの恐ろしさを実感したわけでもございます。それには、一つは、ああいう化学工場でもありましたので、非常に火の回りが早く、そして火力がきついと、そういうこと、それに至るまでのやはり通報が非常におくれていたんじゃないかなということでもございますし、消火栓も一挙に出しますと、やっぱり低下するところもございますが、そこで一番感じたのは、やはりああいう密集地帯では、空間の土地の必要性があるんじゃないかなと、そのようにも思いました。そしてまた、市民の方々が、はしご車を使えばもっともっと効果的な消火ができるんじゃないかと、そんな意見を飛ばされておったんでありますが、その現場は、やはり電線等が張りめぐらしているために、はしご車の活用というものは、なかなかこれはでき得ないものであると。したがって、そういう電線の地中化、そういうものもやっぱりこれから考えていかなければいけないんじゃないかなと、かように思った次第でもございます。また、そういう方向についても、これから取り組んでいかなければいけないと思っております。 次に、福祉行政についてでございますが、障害者基本計画の具体化については、奈良市独自の数値目標をつくるような行政主導型を推し進めているのではなく、障害者団体の代表も委員に入っていただいている障害者福祉計画推進委員会において協議をしながら事業を実施しています。私は、福祉施策は、絶えず前向きに、一歩たりともとどまることなく、継続的に実施していかなければならないと。どんな施設が必要であるかと、どういう対応をしていかなければいけないかということは、常に考えていかなければいけないと、そういうふうに思いながらも、福祉行政を取り組みさせていただいているところでもあります。 次に、養護学校卒業後の進路についてでございますが、私が一番気にかかっているのは、常に親の方々とも話をしているんでありますが、養護学校を卒業したときの行くところをいかに求めていくかということが、非常に大きな問題でもございます。したがって、その人たちが働ける場所、そういうものを一刻も早くつくっていかなければいけない。現在、十カ所の作業所がございます。来年度におきましては、さらに一カ所を新規に開設する予定をいたしております。これらの作業所に勤めていただき、そして奈良市としても運営の補助金を出させていただき、障害者の方々が安心して働いていただけるような、そういう方向に努めさせていただきたいと思います。 また、授産品販売についてでございますが、各事業所においてつくられた授産品につきましては、率先して、これはだれかに買っていただくというようなことで、私は常にそれが気がかりでもございますし、ことしの九月の十五日の福祉大会におきましても、作業所でつくっておりますさをり織りを約五千枚、注文をさせていただいております。また、福祉の店で販売されておりますいろいろな品物についても、必要なときに購入をさせていただいたり、あるいはまた、作業所で名刺をつくっておりますものを市の職員がそれを活用させていただいたり、そんなことをいろいろ考えながら、作業所と行政も一体となって、そしてまた父兄の方々とも一体となって、その販売方法に、販売の促進に努めているところでもございます。 次に、ショートステイ施設の増設についてということでございますが、ショートステイの需要は、今後ますますふえるものと予想されます。社会福祉法人が施設建設をする場合には、市として建設助成もさせていただいているのでありますが、本年から社会福祉法人のならやま会が実施いたしましたレスパイトサービス事業にも若干の補助金を出させていただき、ショートステイの充実に努めてまいりたいなと、かように思っているところでもございます。 全身性障害者介護人派遣事業の導入についてということでございますが、在宅の重度障害者に対する自立と社会参加を促すためには、それは必要な事業と考えられますので、今後は、実施に向けて検討をさせていただきたいなと思います。 また、御意見ございましたように、本年四月より音楽療法を推進させていただいておりますし、障害者には、音楽が何よりの生きがいという求めをされております。したがって、障害者一人一人の実態に沿ったようなカリキュラムを今、一生懸命に取り組みをいたしているところでもございますし、障害者とともに、障害者の本当の生きがいということでの音楽療法の推進を、これから全国に先駆けて成功してまいりますような方向で進めてまいりたいと思っております。 次に、環境清美行政についてでございますが、事業系ごみ処理手数料の適正化については、ことしの三月二十五日付、奈良市清掃業務審議会へ諮問をさせていただき、既に二回審議会を開催され、引き続き、答申内容について、現在、継続審議をされているところでもございます。今後は、審議会の答申内容を十分に尊重させていただき、事業系ごみの排出抑制及び再資源化を促進するためにも、事業系ごみ手数料の適正化に向けて早期に取り組んでまいる所存でございます。 古紙の供給過剰対策についてでございますが、古紙の利用が非常に少なくなっていると。そうしますと、御意見のように、古紙業者が衰退してしまうと。そうなれば、おのずから、奈良市の環境清美事業に持ち込まれるということでもございます。そんなことで、市としても、古紙の再生普及拡大については、事業者に対しても抜本的に考える必要性もあるんじゃないかなと、かように考えているところでもございます。そして、各家庭に焼却炉の配置をしていただき、その配置についても半額補助をさせていただき、できるだけ家庭で燃やせるごみは燃やしていただくという推進に、さらにPRに努めてまいりたいと思っております。 次に、観光行政についてでございますが、体験学習ができる観光資源づくりということでございますが、御承知のように、奈良市には本当にかけがえのない文化財が群をなしているというようなことでもございます。したがって、このかけがえのない文化遺産をただ単に見る観光じゃなしに、やはり参加体験型の観光に切りかえをしていかなければいけないと。そういうことにしようということになれば、やはりそれにつきましても一定の説明も必要でもあるし、また、そういうビデオづくりもやっていかなければいけない。そんなことで、各ホテル、旅館組合等とも協議を重ねながら、各ホテル・旅館においても奈良の文化遺産の説明をしていただくと、そして、その説明を頭の中に入れていただいて、そして各社寺、仏閣に観光に行っていただくと、そういう参加体験型の観光をこれから大いに進めていかなければいけないんじゃないかなと、かように思っているところでもございます。 また、奈良には古くからの伝統工芸品がございます。それをひとつ、ならまちの中に伝統工芸工房館用地がもう取得をしているのであります。したがって、それの建設を行い、そこで奈良の持つ特産物を体験していただくような、その工程を体験していただけるような、そういうシステムのやかたにしてまいりたいと、かように思っているところでもございます。 次に、観光は人を呼び込む仕掛けづくりとの観点から、観光企画を創出することが大切であると思うがどうかという御質問でございますが、これは、御意見のように、全国規模的な薪御能を奈良の古都で行うべきであるということの御意見でもございましたし、まさにそうしたことも考えていかなければいけないと、かように思っているところでもございます。今、大きな話題を提供されております朱雀門、それから東院庭園復原記念事業や市制百周年記念事業にも観光客をひとつ呼び込んで、大きなイベント企画をしてまいりたいなと、そのようにも考えておりますし、ちょうど来年は百周年でもございます。市民から寄せられたアイデアによって、どの街角においても、ひとつそういうイベントの展開をすると。それが本当に観光客に好評を得るものならば、やはり継続的に実施をしていかなければいけないなと、かように思っているところでもございます。 次に、菰川の水質改善についてでございますが、先ほど大宮橋の欄干のお話がございましたが、きょうから県がその補修にかかっているように聞いております。また、歴史的な橋としての要望をしたらどうかということで、これにつきましては、やはりそういうこれからの橋づくりについては、やはり歴史的な奈良のイメージに合うような、そういう橋づくりを進めてまいりたいなと、かように思っております。 また、菰川の水質改善についてでございますが、非常にこの菰川の水量が少ないものですから、川が汚れているというようなことでもございます。したがって、これから雑排水の河川への流入等を防ぎながらも、ヘドロの回収とかそういうことをしながら河川に清流を取り戻すというような、そういう考え方で、県の方にも強く要望をさせていただきたいなと思っております。また、幸いにいたしまして、建設省の河川局長が奈良出身の尾田さんでもございます。尾田さんは、常に、奈良には、万葉の川づくりをひとつやっていこうやというようなお話もされてございまして、そういう万葉の川づくりをこれからやらせていただきたいなと、そのように思って、これからそういう方向で取り組みをさせていただきたいなと思っております。 また、まちづくり行政についてでございますが、市民参加のまちづくりの体験についてということで、市といたしましても重要なものと認識をいたしております。現在、組織、体制の問題も含めて、そのあり方について、各関係の部長によって勉強会を重ねており、今後、その実現を図ってまいりたいなと思っております。 次に、地域住民から多くのまちづくりリーダーの養成をする必要があるがどうかと、行政主導型でまちづくりリーダー養成講習会を開設してはどうかということでございますし、これは、奈良の持つ特色を生かしたまちづくりをしていかなければいけないし、また市制百周年を来年に迎えるのでありますが、今日までの百年の歩んできた、その過程をしっかりと踏み締めながら、次の百年に向かって大きく飛躍していかなければいけないと、まあそういうまちづくりをするについては、やはり、それぞれのポジションにおいてリーダーづくりも必要ではなかろうかなと、かように思っておりますし、そしてまた市民参加が得られるまちづくりでなければならないと、かように思っているところでもございます。 以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 まず初めに、学校園活性化対策事業についてでございますけれども、その中で、事業の内容についてお尋ねいただいてるわけでございますけれども、大きく分けますと、一つは、特色ある学校・園づくり、それから幼児・児童・生徒の健全育成、それから家庭や地域社会との連携、そして教職員の資質向上に関するものが中心になってございます。 次に、その予算の考え方についてお尋ねいただいてるわけでございますけれども、その予算の配分につきましては、学校・園に、まず基本額を定めまして--まず基本額、それに幼児・児童・生徒数、それから教員数の割合を加算して配分をいたしてございます。なお、この予算は、学校・園の活性化に役立てば、全く校長あるいは園長の自由裁量によって使用するものでありまして、執行につきましては、今後とも一切、制約を設ける考えはございません。 次に、この活性化対策事業は、いつまで続けるのかということでございますけれども、教育は、時代を超えて変わらない価値のあるものを大切にするとともに、社会の変化に的確に、かつ迅速に対応する必要がございます。したがいまして、子供たちが対応する資質あるいは能力を育てるためにも、ぜひこの事業は継続してまいりたいと、このように考えてございます。 次に、耐震診断と大規模改造事業並びに耐震補強事業の今後の計画についてお尋ねいただいてるわけでございますが、昭和五十六年以前に建築されました校舎が大規模改造事業の対象となる場合には、耐震診断の実施が義務づけられておるところでございます。耐震診断の実施につきましては、平成七年度に小・中学校で三校、八年度では五校で、一部校舎棟に対しまして耐震診断を実施をいたしました。本年度は、小学校二枚と中学校二校の校舎棟につきまして耐震診断を実施する計画でございます。 次に、大規模改造事業と耐震補強事業との一体工事につきましては、本年度から実施するため、計画を進めております。その実施校につきましては、二校を考えてございます。また、来年度以降の実施計画につきましては、毎年三校から五校の耐震診断と、その結果によりまして大規模改造事業並びに耐震補強事業をあわせて実施してまいりたいと、このように考えてございます。 次に、学校のごみ処理調査の状況についてでございますが、従来から、教育委員会といたしましては、分別回収を初め空き缶類のリサイクルを行う等、ごみ処理につきましては、教育の一環として取り組んでまいっているところでございます。このたび、文部省が学校におけるごみ処理等の状況調査を行うことになりました。その内容につきましては、学校から排出される空き缶類、瓶・ガラス類、プラスチック類、新聞紙・雑誌類、生ごみ等の八種類のごみについて、それぞれ分別回収の実態、及び燃えるごみについての処理方法が学校内で焼却しているのか、あるいはまた市町村等において回収しているのか等の調査が主なものでございます。今後も、学校現場におきましては、分別回収を徹底して実施するように指導に努めてまいりたいと、このように考えてございます。 以上です。 ○議長(中村誠一君) 七番金野君。 ◆七番(金野秀一君) 二問目は、自席より行います。ただいまの市長また教育長の御答弁をいただきまして、私の趣旨に沿った答弁でありましたので、理解をいたします。あと何点か、要望をつけ加えさせていただきたいと、このように思います。 今、財政の問題でございますけれども、国で財政構造改革が声高に叫ばれておりますけれども、我が市においても、本当に八年度、起債の残高が一千八百十五億、そして九年度予算を八十五億円、上回っております。継続費や債務負担行為設定済み用件--先ほど言いましたJRとか西大寺でございますけれども、増加して、起債の増加も予想されておりまして、後年度負担が増加するという厳しい財政状況の中で、事業全般にわたって再検討を行い、苦しい中でありますけれども、行財政改革の積極的な推進と住民福祉の向上を要望しておきたいと思います。 職員の適正化につきましては、緊急性の高い行政需要に対しては増員を図り、常に職員数の見直しを図ると御答弁がありました。明年は、仮称市民ホールの完成、それから仮称生涯学習センターの完成、また老人ホームの完成等々ですね、民間委託をされるにしても、業務量の増加は否めないと思いますので、従前の事業に支障の出ない配慮と検討を、御配慮いただきたいことを要望しておきます。 地域防災計画の中にボランティア導入計画が導入されていることにつきましては、私も承知しております。今、御答弁いただきました中で、若干、東包永の火災につきましては、本当に市長も早朝より現場に駆けつけていただいて、貴重な御感想を聞かせていただきましたけれども、市長も指摘をしておられましたように、通報がおくれたとかいうお話もございましたし、私もちょっと質問させていただいたんですが、そこの部分で、ちょっと質問させていただきました火災の概況と防御方法といいますか、これらのことを踏まえてですね、今後の教訓とされる対策等について、市長でなくっても結構ですので、消防長でも結構でございます、どのように教訓としてとらえて、対策を練られるのか、お聞かせいただきたいと、この点だけ一点、後でお願いします。 それから、障害者問題につきましては、私よりも、本当に市長の方が何十年間とかけてやってこられたことでございますので、私が申し上げるのも失礼かと思いますけれども、ただ、今お聞きしました福祉施策は、絶えず前向きに、一歩たりともとどまることなく、継続的に実施していくという積極的な御答弁をいただいたわけですけれども、先日、私も京都の授産施設を見学してまいりました。歩みという名前がついておりますけれども、ここでは、市場の中にですね、授産施設販売店を一店舗借りてですね、丸々借りて、養護学校の生徒の実習も兼ねてですね、独立店舗を構えておられました。また、京都市内にある百貨店の売り場でですね、授産品を並べて、お客様に授産品の値段をつけてもらうという試みをされたそうでございます。すると、自分たちが考えてた以上の価格がついて買っていただけたということで、非常に自信を持っておられたりですね、また今後、現在工事中の京都駅ビルの完成後には、その中にもう一店舗、店舗をふやす予定であると、そして今、その愛称を公募しているという話がありました。 本市においても、授産施設の作業所の人たち、職員の方、またその家族の方、そしてボランティアの方が多く支えてくださっているわけですけれども、その方たちのお姿を見ますと、例えば、どんな授産品をつくればいいのか、また、その授産品の技術をどうして学べばいいのか、また、それを子供たちにどうして教えていけばいいのか、できた授産品の販売先をどうして開拓していくのかと、児童の面倒を見ながらですね、そういうことを非常に御苦労されているようでございます。大変な負担がかかっているのではないかなと思います。また、福祉のレッテルを張って売る時代は終わったと皆さん方もおっしゃっております。そういう意味で、そういう共同の授産品販売店を持つとともにですね、ぜひ、大川市長の真骨頂であります--ハードじゃないんだと、ソフトが大事なんだとおっしゃる、その真骨頂として、ぜひ、そういう店舗だけではなしに、授産品をつくる段階からアドバイスをいただけるような、例えば商品のパッケージ、商品のデザイン、そして商品のつくり方、そして、もし店舗に陳列--今、マーチャントシードセンターでも並べてやっておりますけれども、商品というのは並べ方一つでも変わります、売れ行きは変わってしまいます。そういう意味で、そういう専門家たちのアドバイスをいただけるシステムを取り入れていただければ、ありがたいという声もございました。ですから、そういう専門家の方たちのアドバイスをいただくことが、今後、さらに大切ではないかなと。そのことの確立、ソフト面の確立を要望しておきたいと思います。 それから、古紙のリサイクルにつきましては、積極的に家庭に焼却炉を、さらに半額補助してもふやしていきたいという御答弁がございましたので、理解をさせていただきます。 次に、入り込み観光客の減少についてということで、市長から御答弁いただきました。そこで、一点、私も先日、上京する機会がございまして、東京の墨田区へ行ってまいりましたが、墨田区の区会議員の紹介で、実施されてます三M運動というマイスター制度--職人制度ですね、それからモデルショップ、そして小さなミュージアムという、この三つの、三M運動というのを取り組んでおられるんですけれども、小さな博物館を見学してきました、その中の。これはどういうものかと言いますと、店舗の中に展示スペースをつくったびょうぶ屋さんとかですね、それから二十年間自分の趣味でやってきた能面づくりを生かして、自宅を開放して小さな博物館にした大工の棟梁さんとか、八十二歳で自宅の職場を開放している江戸彫の木彫の職人さん--いや木彫の芸術家等ですね、皆さん、最初は自分の仕事に影響が出ると思い、ちゅうちょされてたわけですが、墨田区のためと踏み切ってみると、逆にお客さんがふえたと。また、中学生の修学旅行生の小グループが見学に来たりですね、お弟子さんができたと大変好評でございました。 このことを通して、本市でも、スクラップ・アンド・ビルドで新しい試みにチャレンジされることが、市民にとって、また商業者にとっても大きな励ましになるのではないかと思います。また、市民や商業者に希望をわき立たせ、意欲を喚起させていくんではないかなと思います。そこで、体験学習的資源づくりの希望のある人たちの声も聞き及んでおりますので、そういう積極的な取り組みを今後、要望しておきたいと思います。 次に、佐保川、菰川については、今、市長答弁いただきましたようにですね、本当にこの市役所を両側で囲む、奈良市の中心の河川であります。ですから、どうか、朱雀門の完成後は、市民の、観光客の目にもとまることも多くなると考えますので、ぜひ、今おっしゃいました国の万葉の川づくりを積極的に推進していただくことを要望しておきます。 それから、まちづくりにつきましても、非常に、昨年視察をした横浜市、そしてまた先日広島市にも視察に行かせていただいたんですが、本当に両市とも、市長の直接指導で積極的な働きかけをされておられました。そして、組織をつくり、体制をつくりと、今御答弁をいただきましたが、市民教育体制をつくって、市民と行政が知恵を出し合うシステムをつくり、そして時間をかけてる。やっぱりもう長いところは、十年前からやはり取り組んでおられます。ですから、どうか試行錯誤を繰り返しながら、市民参加のまちづくりの施策の推進を要望しておきたいと思います。 現実には、こんな、広島などでは、まちづくりボランティアを逆に先進地の海外に派遣する募集をかけたりですね、まちづくりにあなたもチャレンジしてみませんかという形で市民に呼びかけをされておられます。ぜひ、積極的なお取り組みを要望しておきたいと思います。 それから、古紙の回収につきましては、御答弁いただいてますので、最後に、学校園活性化事業を教育現場において、市長の心を心として、本当に二十一世紀へつながる大切な事業と考えております。教育長からも、その趣旨の御答弁をいただきました。より効率的効果が発揮できるようにお取り組みをお願いするとともに、未来の奈良を担う子供が豊かな心を持ち、個性を伸ばす教育をよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらさせていただきます。 ありがとうございました。 ○議長(中村誠一君) 市長。 ◎市長(大川靖則君) ただいまの御質問につきまして消防長から答えさせます。 ○議長(中村誠一君) 消防長。 ◎消防長(林茂樹君) 東包永町の火災から、今後の同種火災のような場合の防御や、あるいはそのときの教訓ということについてお答えをいたします。 まず、東包永町の火災の概況でございますが、先月の五月二十九日午前零時四十二分に消防本部で一一九番通報により覚知しております。場所は、東包永町の五十四番地でありますが、住宅密集地の中のプラスチック模型工場から出火いたしました。木造七棟千六百平米余りを消失いたしまして、五世帯十人が罹災されたわけであります。被害額等は、今のところ明確になっておりません。この火災で、消防士一名が足に軽いやけどをいたしましたけれども、ほかに人的被害はございませんでした。 覚知と同時に、佐保出張所のポンプ車が約四分後の零時四十六分ごろに到着しているわけでありますが、順次九車両が現場に到着して、付近の八カ所の消火栓から、そのうち六カ所の消火栓を使用して、十一口の筒先で包囲体形をとるようにして放水いたしまして、火元の工場と、そしてこの所有者の敷地内にあった住宅、倉庫など七棟で火災を食いとめることができたわけであります。出動命令で飛び出しました佐保出張所の消防隊が一条通りに出ましたときには、既にもう激しい炎の上昇を認めております。火元と見られる工場は、完全に火炎に包まれておりまして、住宅にも既に延焼があったということで、火災は最盛期でございました。このような状況から、火災の発見と通報がかなりおくれたものと考えられるわけであります。 また、消防水利につきましては、付近には、今申し上げましたように、八カ所の消火栓のほかに二カ所の私設の防火水槽が設置されておりまして、消防水利は十分に確保されておったというように認識しております。 この消失建物につきまして、これは建築後七十年余り経過いたしました木造建築物で、消防用設備につきましては、消火器を設置したらいいということだけで、ほかには何の規制もない、いわば法の規制の枠外というようなものでございました。今回の教訓から、今後は、このような類似の建物あるいは施設についても、早期発見のために、あるいはまた初期消火を迅速に行うために、自動火災報知器あるいはスプリンクラーの設備の自主設置ということを強く勧めてまいりたいと思っております。また、消防本部におきましても、火災の監視カメラを増設するなど、早期発見するための努力をしてまいりたいと思います。 本件の火災で、市長を初め、先ほど市長が申されましたとおり、三役あるいは関係部課長が直ちに現場に駆けつけまして、直ちに被災者等への応急食糧の配付、あるいは救援物資の配付等々、市として迅速な、組織的な災害対応が行われたところでもございます。なおまた、この付近の市民の方々におかれましては、警察官の交通規制などによく従っていただきまして、そういうことで、消防活動が非常にスムーズに行うことができましたことは、周辺の自治会の方々に大変感謝しているところでもございますし、さらにまた、近隣の方々が高齢者を救出されるような場面もございました。そういうことから、教訓から、今後も万一に備えまして、全市的に近隣相互扶助というような、そんな機運を盛り上げていくことも大切だと、そんなふうに存じておるところでございます。 ○議長(中村誠一君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。  午後二時二十一分 休憩  午後三時三分 再開 ○議長(中村誠一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。---------------------------------- ○議長(中村誠一君) 代表質問を続行いたします。 二十二番黒川君。  (二十二番 黒川恵三君 登壇) ◆二十二番(黒川恵三君) 社会民主党奈良市議会議員団を代表いたしまして、市長並びに助役、教育長に、通告いたしております四点について質問をいたしたいと思います。 質問に入ります前に、開会あいさつでも市長から御報告ありました、奈良市内の歴史的建造物群など古都奈良の文化財がユネスコの世界遺産に推薦されることが決定しました。登録のために、推進室を設置するなどの準備、あるいは文化庁への働きなど、この間、御尽力いただきました市長を初め、関係理事者、職員の皆さんに、改めて敬意を表したいと思います。 世界遺産に登録されますと、その保存について国際的な責務を負うことは大きく、また、その周辺の環境保全も重要になってくるかと思います。それも、市制百周年の年に登録され、二十一世紀につなぐまちづくりを考える場として、奈良市にとって、とても意義がありますし、市長に対します市民の期待も大きいものがあると思います。 それに軌を一にするように、奈良市においては、二十一世紀を見据えた将来都市像とまちづくりの方向を示す奈良市新総合計画が一九九一年、平成三年二月に策定され、二〇〇〇年度、平成十二年度までの第二期基本計画が示されています。施策の大綱として、五つの社会実現を目指すことを掲げています。 そこで、私は、第二期基本計画の二年目に当たり、その内容を点検し、さらにその課題が今後推進されるであろうことを願いまして質問いたしますので、ぜひ前向きの御答弁をよろしくお願いを申し上げます。 まず初めに、快適な生活を送るためにを主題といたしまして、清掃事業の産業廃棄物の問題について御質問をいたします。近年、大量生産・大量消費の経済システムによって、使い捨て文化が国民生活に浸透する中で、廃棄物の排出量の増大、種類の多様化が進み、不法投棄を初め環境破壊が社会問題化し、深刻な事態に陥っているところが多くあります。 一般廃棄物については、容器包装リサイクル法が、この四月から施行になりました。これによって、缶、瓶、パック、ぺットボトルなどの容器包装を消費者あるいは事業者、市がそれぞれ役割を分担し合って、リサイクルを進めることが義務づけられました。そこで、奈良市にあっては、従来から進めてきました、ごみをつくらない、ごみゼロ社会を目指すことを出発点としての分別収集のモデル地区の拡大に力を注いでこられましたので、期待したいと思います。 一方、産業廃棄物については、御承知のように、香川県の豊島は、三十年間も産業廃棄物によって苦しめられ、岐阜県の御嵩町では、産業廃棄物処分場建設の是非を問う住民投票が実施をされています。奈良県においても、西吉野村等においても、大きな問題となっております。奈良市も以前から問題箇所がありましたが、奈良市の精華地区の処分場など、どのような状況になっておりますでしょうか。 そんな中で、国会では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正法案が参議院の先議で審議され、四月二十一日の参議院本会議、六月六日の衆議院厚生委員会、六月十日の衆議院本会議で全会一致で可決されています。 今回の改正の主な事項は、産業廃棄物の処理施設を設置する業者に環境への影響調査を義務づけたり、不法投棄に対する罰金を大幅に引き上げるなどですが、改正の主な柱として、一つ、新たに処理施設をつくろうとする業者に生活環境の調査を義務づける、あるいは二番目として、施設の設置許可の際に、関係住民と市町村の意見を聞く手続を設ける、三番目として、不法投棄への罰金額は、現行の最高百万から一億円に引き上げるなどとなっています。特に、産業廃棄物については、所管が奈良県にありますが、地域住民の苦情の対応や、あるいは対策は、直接、市町村が明確化され、告示あるいは縦覧、関係住民等の意見の聴取の際に関係市町村の意見聴取などが義務づけられています。住民の思いを行政に反映させる道筋が敷かれようとしています。 そこで、市長の現状認識と、今後の課題をどのようにされているのか、お聞きをいたしたいと思います。 次に、道路行政について、桐木助役にお伺いをいたします。多くの困難を克服し、一九八六年、昭和六十一年に着工されました第二阪奈道路は、全長十三・四キロメートルが、この四月二十三日に開通となりました。大阪との距離が二十五分も短縮となり、大阪や、あるいは兵庫県からの観光客らの利用促進が期待をされています。 しかし、ゴールデンウイークには、宝来付近では、渋滞がピークに達したと思われます。また、日曜日も、阪奈道路と第二阪奈の合流地点がかなり混雑の状態が続いております。また、朝夕の時間帯には、慢性的な渋滞が続き、かなり一時的に集中する現状があります。市街地へのアクセス道路整備が進まないなど、課題は積み残したままになっていると思います。さらに、交通安全上、第二阪奈道路が本線で、阪奈道路から第二阪奈に合流する際の状況は、かなり危険を伴っているんではないかと思われます。また、第二阪奈道路に進入の際、進入路がわかりにくいなどの改善点もあると思われますが、このことについて、どのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。 次に、近鉄学園前駅南再開発事業と周辺整備について、市長にお伺いをいたします。二〇〇一年、平成十三年三月末完成を目指して着工されました近鉄学園前駅南再開発事業は、西部地区の玄関口として、長い間待ち望んでこられた市民にとって喜ばしいことと思っています。これによって、新総合計画にうたっておられます「近鉄学園前駅周辺地区は、西部住宅地域の中心核として市民の生活、文化活動の一拠点となっているものの、住宅地の拡大に比べて、都市機能の整備はまだ不十分であり、道路、駅前広場の整備はもとより、多様化する住民のニーズに対応できる地域の中心核にふさわしい文化・公益・業務機能を備えた施設の整備が必要である。」、この一つの課題を一歩前進させると考えます。ただ、駅前整備だけでなく、道路整備及び周辺のこれからのあり方も考えることも必要になっています。 そこで、再開発事業の進捗と西部地域の玄関口として、さらに西部の南地域及び学研都市を控えている北側地域との調和を考えて、今後この地域の一帯をどのようにされようとしているのか、市長のお考えをお聞きしたいと思います。 最後に、豊かな人間性をはぐくむ社会を目指してということで、学校教育について、教育長にお伺いをいたします。子供たちをめぐる状況は、大変憂慮すべきことが増加をいたしております。いじめや不登校の問題、それに最近、大阪や神戸、そして県内の月ケ瀬村における小学生や中学生が巻き込まれる事件が、あるいは事故が、多く発生しており、子を持つ親たちはもちろん、子供たちがますます殻に閉じこもり、人間不信に陥るんではないかという心配と不安な日々が続いています。学校によっては、地域の協力を得まして、さまざまな工夫を凝らして子供たちを守る活動もなされると聞いております。 その一方、高校教育に目を向けますと、県内の公立高校では毎年五百人を超え、私立高校では二百人以上が中途退学をいたしております。私たちは、中途退学者が発表されるたびに心を痛めています。希望に燃えて入学したはずの高校生が、なぜ中途退学を余儀なくされるのでしょうか。中途退学の原因は、個々さまざまであります。公式発表では、進路変更、学校生活不適応、学業不振、病気等、あるいは経済的理由、家庭の事情、問題行動などとなっています。中退者は、果たして勉強嫌い、学校嫌いなのでしょうか。登校できなくなって、高校をやめていった生徒は、どうしているのでしょうか。県内の高校進学率は九六%を超えていますが、中退者は、実に生徒全体の一・七四%にも上がっています。こうした高校中退者の防止策は、今もとられているとは聞いています。一向に減らない中退者に、もっときめ細かな施策があってもいいと思います。もっと多様な選択肢があってもいいと思います。生徒が学校に合わせることから、学校が生徒に合わせる改革があってもいいと思います。 そこで、現状に飽き足らない人たちが現実を注視した改革を求めて、奈良県に、これ以上、高校中退者を出さない教育の確立を求めて、約一万人の署名を添え、県議会に請願を提出をいたしました。請願の中には、高校遠距離通学者への通学助成制度についても挙げられております。これは、数少ない全県一学区制をとっている奈良県立高校制度では、放置できない問題です。特に、東部地域の子供たちにとっては、通学時間と同時に、通学費の負担も親の悩みではないでしょうか。以前からも地元の要望も出されていると聞いています。 そこで、高校教育の現状について、どのようにお考えなのか、また高校遠距離通学者への助成を行う予定はないのか、教育長の御見解をお聞きをいたします。 これで私の一問目の質問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 市長。  (市長 大川靖則君 登壇) ◎市長(大川靖則君) 二十二番黒川議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず、快適な生活を営むために、産業廃棄物の行政についてということでございます。近年、産業廃棄物の不法投棄や環境破壊が社会の問題となっております。奈良市におきましても、精華地区の産業廃棄物処分場の土砂が谷に崩落し、現在、県が土砂の排出等の指導をされているところでございます。産業廃棄物の処理を行う場合、及び産業廃棄物の処理施設を設置する場合は、御意見ございましたように、県の許可が必要とされております。小規模の産業廃棄物処理施設については、奈良市産業廃棄物の処理施設の設置に関する指導要綱にて指導をさせていただいているところでもございます。今後、産業廃棄物については、法律の改正もございますので、従前より厳しく、環境保全の立場から、県とともに指導をしてまいりたいと、かように考えているところでございます。 次に、快適な生活を営むために、市街地--近鉄学園前駅周辺地区の整備についてでございますが、その進捗については、近鉄学園前駅南地区再開発事業ということで、現在、都市計画道路学園前駅南線に着手をいたしております。引き続き、今年度に南北自由道路、平成十年度には公益施設棟、最終年度の平成十二年度には駅前広場の工事に着手する予定でございます。工期内竣工に向けて順調に進捗いたしているところでもございます。この事業が完了いたしますと、現在の北側の西部出張所、西部公民館等がそこに移転することになります。したがって、駅周辺整備とともに、その出張所と公民館が移転した跡地についての利用、それから蒼池の利用等も含めて、今後の学園前駅南北のあり方に十分検討を加えてまいりたいと思っているところでございます。 以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 桐木助役。  (助役 桐木 弘君 登壇) ◎助役(桐木弘君) 道路行政に関連いたしまして、第二阪奈自動車道の宝来ランプの交通安全対策について質問ございました。 既に供用が開始されましてより、約二カ月が経過しようとしているところでございますが、御指摘ございましたように、この開通に伴いまして、旧阪奈道路と第二阪奈自動車道を結ぶ宝来ランプ出入り口では、通行量が増加しつつあるという状況にございます。我々も非常に懸念をいたしておるところでございますが、この交通安全対策につきましては、宝来ランプの出入り口から東側の大宮通り線と、それから三条菅原線の菅原町から尼ケ辻交差点までの間、延長千八百九十メートルを道路事業として県が拡幅事業を実施してございます。ところが、現在、聞き及びますと、約七〇%弱の用地買収を終えてる状況にあるというところでございまして、市としては、何をさておいても、県に早くこれの早期完成を要望いたしておるところでございますが、今後も強く働きかけてまいりたいなというところでございます。 また、この道路拡幅が完成するまでの間につきまして、第二阪奈道路と大宮通り線との接合部分の付近で、道路標識あるいは道路標示等の交通安全対策についても、関係機関等に強く申し入れてまいりたいなという状況でございます。 以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 豊かな人間性をはぐくむ社会を目指しての学校教育の中で、高校遠距離通学援助についてお尋ねいただいてるわけでございますけれども、高校遠距離通学者への通学費につきましては、現在、奈良県の高校は、実質的に全県一学区制をとっております。ケースによりましては、この遠距離への通学を余儀なくされていることも事実でありまして、そのための通学費がかさんでいるのが状況でございます。この件につきましては、六月の県議会に請願が出されているように聞き及んでおりますので、私どもといたしましても、県へ強く働きかけてまいりたいと、このように考えてございます。 なお、高校の学区制の見直しにつきましては、県下各市町村教育委員会に相関連をいたしますので、十分連携を密にいたしまして、県教育委員会へ要望してまいりたいと、このように考えてございます。 次に、高校教育の中での高校の中退問題についてお尋ねいただいてるわけでございますけれども、高校中退者を出さないためにも、中学校での進路相談、進路指導は、大変重要だというふうに考えてございます。したがいまして、進学に当たっての従来の偏差値入学の指導から生き方を重視した指導へと、質的な転換を現在図っているところでございます。そして、生徒が自分の将来設計の中で、個性を生かし、目的を持って、進学したい学校を自己の意思で判断し、決定できるよう指導してまいりたいと、このように考えてございます。 以上です。 ○議長(中村誠一君) 二十二番黒川君。 ◆二十二番(黒川恵三君) 二問目は自席から行いたいと思います。 それぞれ市長、助役、教育長と御答弁いただきました。若干、要望と若干の再質問をさせていただきたいなと思っております。 産業廃棄物については、今、市長から御答弁ありましたように、奈良市として、特に小規模産業廃棄物処理施設に関して、去年、奈良市の産業廃棄物指導要綱の第五条に地元合意という部分をうたって、地元の皆さんの、やはり市民の声を大事にしてるというようなことで今、御報告もありまして、評価するところであります。特に、要綱の徹底的な御指導、要綱に基づいた御指導をお願いするところであります。 ただ、私は、産業廃棄物のみならずですね、よく言われておるんですけど、現在、建設工事に発生する産業廃奎物の量は年間七千六百万トンと言われています。そのうち残土、発生土は四億三千七百万トンというような公表もされているようです。数字を言われても、どれくらいという感覚はないんですが、比較してもやはり残土の量がかなり出てくるんではないかということも言われております。 そこで、いろいろと私たちも、こうした産業廃棄物の問題と残土の問題を以前からも質問もされておりますし、いろんなところで、こうした残土に関する条例規制の研究もされてきたんではないかなと思っております。特に、首都圏では、この問題が大きな社会問題になりまして、有害物質を含んだ、土木やあるいは建設現場から出る残土の埋め立てによって環境汚染が広がっていると。私たちが調べたところでは、千葉県では、現在、五十四の市町村で許可制度を有して残土条例を制定しているということを聞いております。また、十一市町村で業者の届け出を義務化する指導要綱を定めていると言われています。この奈良県では、平群町が最近、条例をつくられたということもお聞きをしてるんですが、そういう意味で、これからこうした問題もやはりもっと私たちが関心を持っていかなければならないんじゃないかなあと思っております。 市民が迷惑をこうむる立場から、こうした問題もぜひ研究をいただいて、特に他都市の状況も十分につかんでいただきながら、県への要請も強く働きかけをしていただきたいなと思っております。千葉県も、これ全国で初めて、県として条例化をするという、ちょうどこの六月議会で条例化に向けた論議が始まっているようでございますが、各市町村のかなりの働きかけがあって、そうした県の動きも、こうした条例化へ向けての方向が生まれているようなことも報告で聞いております。ぜひ奈良市としても、その辺の課題についても対応をよろしくお願いしたいと思います。 それから、第二阪奈道路の開通に伴っての課題でございます。もちろん事業は県の仕事でございますので、直接、市が、今答弁できないというのはよく承知をいたしております。 ただ、私もこの連休、あそこの宝来のインターのところを通りますと、かなり渋滞をしていまして、市内に入るためにかなりの時間を割いたと。その間にいらいらが募りまして、ほかの道を探さんといかんというような、そういうようなのが、毎日統くような状態がありました。そういう意味では、せっかくのですね、第二阪奈--確かに大阪や神戸までは近距離になりましたが、肝心の奈良市内がその倍かかるというような状況でございますんで、ぜひこの辺の問題、県に対します働きかけをよろしくお願いしたいと。 そして、時々、渋滞の中で緊急車のやはり出動にもかなり支障を来しているというのも、私は何度かそういう目に遭遇しました。先ほど消防長からも消防の問題、御報告ありましたけれども、やはり緊急車の問題も、これは日常生活の中で支障を来しているということもぜひ考えていただいて、早急な対策をよろしくお願いしたいと思います。 もう一つは、たしか委員会かなんかで御報告あったかと思いますけど、当初、大宮通りの八車線道路がですね、拡幅の中で高架か平面かという課題もあるのも聞いております。しかし、こうした事業が本当に円滑にいけるように、もっと県と市が連携をとっていただいて、そして住民の声が十分に反映できるような形をとっていただきたいなと、このことを要望させていただきたいと思います。 それから、近鉄の学園前駅南再開発事業に伴う課題でございます。これは三月議会でも質問等があったのを聞いておりますが、私は、この新総合計画にも触れられておりますように、この駅を中心とした、特に学園前とつくように、文化ゾーンとしての位置づけが、やっぱりこの学園前の周辺は大きな柱になってるんじゃないかなと思っております。そういう意味では、今の南側の再開発に伴う跡地の問題、ぜひ、そうした施設などの公的なですね、場所にしていただけないかなと思っております。 例えば、具体的に提案をさせていただきますと、従来の図書館ございます、西部図書館。あの図書館をやはり駅の方に移転できないかというのが、一つの私の提案です。現実に今の図書館、駐車場のスペースも狭いですし、地域的にいっても、やはり線路よりも南の地域、学園の西部の地域については、そうした文化施設の部分もかなり少のうございます。そういう意味では、南北からやはり自然に駅に集まってくる、そういう人の流れがあるわけですから、そういう意味では、駅前をやはり便利な、そういう公的な施設を集中させていけるようなことをできないかということも、実は、これは以前からあの図書館の、西部図書館の位置について、場所について、地元あるいは西部地域の皆さんにとっては大変不満がある場所でもあります。そういう意味で、ぜひ、こういう具体的な話ではございますが、そうした問題もぜひ頭に入れながら、これからの検討に入っていただきたいなと思っております。 そのためにも、地元というか、西部の皆さんのいろんな声を聞く機会をですね、ぜひつくっていただきたいなと思っております。蒼池のこれからの問題も含めまして、あの一帯のこれからの学園前のあり方、どういう生活圏をつくっていくかという、そういう大きな問題もございますので、どうかその辺も頭に残していただきたいなと思っております。 それから、奥柳登美ケ丘線の道路の問題も、どうしても南開発の関係でかかわってくると思いますし、それから南側のアクセス道路の問題、これもどうしても、これからの駅前の整備だけじゃなくて、そういう道路の問題もかかわってくると思いますので、そこら辺も十分に踏まえてですね、これから御検討いただきたいと思いますので、これは要望にさせていただきたいと思います。 それから、高校の教育の問題ですが、これも実は、高校、県の課題でもありますが、同時に、私が触れましたように、中学校からの課題でもあると。実は、この退学者の中身を見ますと、今、高校一年生が一番退学をしてるんですね。これは県の教育委員会が発表した二年前の実態ですが、五百三十二名の退学者の中で一年生が三百二十一名--これはあくまで公立ですね、で、一年生がそのうち九月までに七十八人も退学をしてるわけです。ですから、この理由としては、やはり自分の進路が自分に向いてなかったとか、そういうのがありますし、集団生活に対する苦手の生徒が増加してるとか、それぞれいろいろ理由はあるそうですが、やはり中学の時代からの課題が、やはりこの中退者を生んでるという現象も、数字からもあらわれているんじゃないかなと思います。 そういう意味で、教育長、先ほど進路指導を中学の段階で十分に、カウンセラーもあわせたですね、対策をとっていきたいという、あるいはとっている部分もあるということで答弁ありましたが、ぜひその辺も、もっともっときめ細かなですね、施策が必要になってくるんじゃないかなと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 それから、通学助成制度の問題ですけど、実は、県下では御杖村が、この四月から一人月額一万円の助成を実施しています。これは若者が定住化しないという--これはまた過疎の地域の皆さんの悩みでもあるということで、こういうことを施策でとって定住化させようという一つの方針で、こういうのが生まれたということですが、ぜひ、このこともやはりせっぱ詰まった地域の皆さんの要望でもあるし、また村そのものの課題でもあるということですから、ぜひこの辺を十分に考えていただきまして、ぜひ教育委員会としても、県を待つ前にですね、市も動いていただきたいなと思います。確かに、請願の中で、県の助成、あるいは市の助成ということですれば、財政的にも負担は少なくなりますが、ぜひこの辺は、子供、今本当に中退してですね、本当に行き場がなくなっているということです。例えば、専門学校へ行くにしても、かなりの今、金額で、費用がかかります。やはりそういうところを、行き場のない子供たちにやっぱり行政がもっと温かい手を差し伸べていくということを考えていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。 それで、ちょっと一点だけ、教育長に御質問をさせていただきたいと思いますが、この県のですね、請願をさせていただいてますが、これから、例えば先ほどスクールカウンセラーの派遣事業とか、あるいは進路指導とかいうことで対応されていくということですが、実は高校の先生とですね、中学校の先生との連携というか、そういう問題というのは、今までどういうような対応をされてきてるのか、そこだけちょっとお聞きしたいと思います。なぜかというと、実は、この前、私たちも高校の先生、中学校の先生、あるいは私立の先生、いろんな御意見聞いたんですけど、それぞれの学校で認識にずれがあります。そうなると、やっぱり改革するにも、そのずれをやはりもっと縮めていかなければならないという課題があるわけですけど、この辺について教育委員会として対応されているかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。中学校におきましては、現在、生徒指導委員会といいますか、各学校にございまして、それを集まったのが委員会を形成しているわけでございます。ただ、定期的には県の高校との連携はございますけれども、私の方は、一条高校を持ってございますので、そういう先生方と、そういう機会がございます。しかし、御指摘のように、中退問題は、中学校でのやはり生徒指導あるいは生徒相談--私は指導よりか相談が大事やと思っているんですけれども、その十分な相談の中で、きっちりした生徒指導をやるべきだという考えを持ってございます。そのあたりも、御指摘のように、これから県下の高校に対しましても、もっと積極的に進めてまいりたいと、このように考えてございます。 ○議長(中村誠一君) 二十二番黒川君。 ◆二十二番(黒川恵三君) ありがとうございます。改革、改善については、それぞれいろんな方法もあるかと思います。今やはり、全県あるいは全市挙げて、あるいは生徒や親も教育現場も一体となって、この問題に取り組んでいくという、そんな中ですね、問題をいぶり出して、改革の具体化をしていきたいなと思っておりますので、ぜひ、これからの行政の皆さんも、ぜひその辺の関心をいただきたいと思いまして、これで私の質問を終わらせていただきます。 ○議長(中村誠一君) 以上で代表質問は終わりました。 引き続きまして、質疑並びに一般質問を行います。 十二番中村篤子さん。  (十二番 中村篤子君 登壇) ◆十二番(中村篤子君) 私は、既に通告してあります生涯学習について質問を行います。 今日、全国的にはやっている生涯学習は、国の公的言及から見れば歴史が浅く、一九七一年の社会教育審議会答申、八一年、中央教育審議会答申から始まっています。生涯学習政策がにわかに具体化されたのは、一九八六年、臨時教育審議会「教育改革に関する第二次答申」において、生涯学習体系への移行を打ち出してからです。これは、一九八五年、ユネスコ学習権宣言に見られるような、生涯にわたる学習権保障をという国際的動向とは、ほとんど無縁なものでした。財界筋の二十一世紀戦略の実現を至上命題とした、教育改革プランを踏まえた生涯職業能力開発による企業人材づくりの意図とともに、従来、自治体社会教育が担ってきた国民の教育・学習、文化・芸術、スポーツ・レクリエーション活動の一定部門への民活を旗印にした、教育・文化・スポーツ産業の参入による新たな利潤追求の場づくりという線が色濃くまとわりついていました。また同時に、国家主導、都道府県中心の生涯学習体制づくりという趣も強くにじみ出ています。 以後、一九八八年七月、生涯学習局が新設され、九〇年一月、中央教育審議会答申「生涯学習の基盤整備について」が取りまとめられ、これをベースに、同年七月、いわゆる生涯学習振興法が施行されました。 このような生涯学習政策に対して、多くの市民や住民による権利としての生涯学習、つまり生涯学習権への要求運動が、今日、多面的に展開されています。民衆の学びは、それが教育という名で呼ばれようと呼ばれまいと、いつの世も時代を開いてきました。そして、新しい教育を創造する伏流水をつくり出してきました。 明治の初期、自由民権運動のさなかに生まれた五日市の民衆憲法は、学芸講談会などで学んだ農民たちの手によるものでした。青年団運動も、女性解放の思想を高らかに掲げた青踏も、大正期の信濃自由大学も、労働学校や農民学校も、そして、かの水平社宣言を発した部落解放運動も、北方性教育運動も、時代を開く確かな力を生み出す民衆の学びの歴史を形づくっています。戦後初期社会教育に共通する古さと貧しさからの解放の学びは、この流れを引き継ぐものでした。民衆の学習活動の展開は、常に時代の矛盾を鋭く突き、時代を進歩、発展させる方向を求める学びを育ててきました。 このような民衆の学びの伝統は、政策としての生涯学習を、時代を開き、暮らしを築く民衆自身の学びをつくり出す手だてとして、とらえ返す流れを生み出しています。具体的には、一つ、現代の技術革新に基づく労働者・市民の不断の再訓練・再学習への要求・運動の発展、二つ目に、教育の市場化、すなわち学校や施設の民間委託や合理化、受益者負担主義に抗しつつ、新しい教育の公共性を求める教育文化運動、三つ目に、これらの背後にある情報公開運動を初めとする知る権利と学ぶ権利の自由な拡充を求める諸運動などです。 第三世界諸地域で展開されている識字教育に理論上、実践上、多大な影響を与えたブラジル出身の教育学者パウロ・フレイレは、次のような問題提起を行っています。生涯学習は、人間の解放の手段なのか、それとも支配の手段なのか。この問いかけが、今、極めて重要な意味を持っています。民衆の歴史は、紛れもなく前者の積み重なりであり、今、市民が選ぶ回答も、迷わず前者であると明言できます。 そこで、教育長にお尋ねします。まず初めに、理念についてです。生涯学習とは何だとお考えでしょうか。社会教育との関係をどのようにお考えでしょうか。憲法や教育基本法、ユネスコ学習権宣言の精神が貫かれていなければならないと考えていますが、いかがでしょうか。 ユネスコ学習権宣言は、一九八五年三月、パリで開かれた第四回ユネスコ成人教育国際会議で採択された宣言です。核戦争の危機、貧困・飢餓、人権抑圧、自然破壊など、今日、人類が直面している深刻な諸問題の解決には、その前提として、すべての人類の基本的人権としての学習権の保障及びその行使が不可欠であるという考え方に基づいています。その内容は、一つ、人類的課題解決のための学習が必要である。二つに、学習活動は、人々を成り行き任せの客体から、みずからの歴史を創造する主体に変えていくものである。三つに、あらゆる人々に保障されねばならない。四つに、学習は、自分たちで目的、要求、有効な手段を選び、自主的に行われるべきもので、発達に必要な教育的・文化的・科学的・技術的機会が個人的にも集団的にも保障されるべきである、などで権利としての学習権が具体的に、かつ高らかにうたわれています。 二点目、お尋ねします。学習の主体は、市民であらねばならないと考えていますが、いかがでしょうか。主体である以上、学習する内容も、方法も、手段も、運営も、目的も、すべてにわたって市民の意思が尊重されていかなければなりません。まさしくこれは、ユネスコ学習権宣言の内容そのものです。 三点目は、学習内容に絞ってお尋ねします。一九九四年三月、奈良市は、生涯学習推進基本計画を策定されました。この中で、現代的課題として、消費者問題、地域の連帯、まちづくり、交通問題、高齢化社会、男女共同参画型社会、情報の活用、国際貢献、環境などの学習内容を例示しています。そして、これらの学習の機会の提供を、行政が積極的に取り組むべき課題だとしています。これは、ユネスコ学習権宣言の精神に反するものと言わざるを得ません。つまり、これらの課題は、まさしく学習権宣言で言う、市民が取り組むべき人類的課題であり、行政が積極的に提供するということは、学習権宣言で言う、人々を成り行き任せの客体にさせていくことになるからです。生涯学習が生涯国民管理の道具に成り果ててしまうからです。 四点目は、具体的な市民の要求についてお尋ねします。私たち日本共産党市議団が日常的に聞いていたり、また、この質問に当たり、我が党市議団が行ったアンケートにも回答されています。これらは、市の生涯学習推進基本計画の一項目、生涯学習振興のための施策にも盛り込まれています。ハード面・ソフト面双方からの身近な施設の整備、無料もしくは低料金の費用、専門職員の配置、意識調査の実施などによる住民ニーズの把握、住民サイドでの調査結果の論議、全庁的な取り組みなどです。 同時に、これら諸施策の中心にある課題は、生涯学習のあらゆる場面で市民主体がどう貫かれているかではないでしょうか。もちろん、これは、生涯学習関連施設全部に当てはまるもので、公民館だけではありません。これらの施策の推進、問題の解決、そのための十分な予算措置がなされなければならないと思いますが、いかがでしょうか。 以上で私の第一問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 まず、生涯学習とは、どういうものであるかというお尋ねでございますけれども、一口に申しまして、生涯学習社会をつくっていくという考え方でございます。つまり、この生涯学習社会と申しますのは、人々が生涯いつでも自由に学ぶことができ、その成果が正当に評価される、そういう社会が生涯学習社会だというふうに定義をされてございます。 二番目の、生涯学習と社会教育との関係はどうかということでございますけれども、生涯学習は、あらゆる学習を含むものでございます。したがいまして、社会教育、学校教育、家庭教育などの学習機会は、当然、生涯学習に包含されるものでございます。よって、御指摘のとおり、憲法だとか教育基本法、あるいは学習権--ユネスコのいわゆる学習権宣言の精神も、当然、この中に含まれるというふうに解釈いたしてございます。 それから、生涯学習の主体はだれかということでございますけれども、生涯学習は、当然、市民主体にすべきものだというふうに考えてございます。 それから、学習機会の提供についてでございますけれども、御指摘のとおり、生涯学習は、人々の自主的な活動であって、ほかから干渉を受けるような--さまざまな学習資源、機会の中から、みずからの判断に基づき、適宜これを選択して行われるべきものだというふうに思ってございます。したがいまして、行政は、あくまでもこれは支援的な立場--あくまでも本人が主体でありますから、行政は、表面に出るんやなしに、あくまでも支援的な立場に徹し、この学習プログラムや機会の設定は住民みずから行うべきものでございますし、生涯学習の振興のため、現段階では、行政に課されました課題として取り組んでいくことになると思います。 今後、生涯学習センターを拠点として研究、検討を加えてまいりまして、理想的な生涯学習のシステムをぜひ目指してまいりたいと、このように考えてございます。 以上です。 ○議長(中村誠一君) 十二番中村篤子さん。 ◆十二番(中村篤子君) 二問目は自席より行います。 再質問する前に幾つか主張、提案を行っておきたいと思います。 精神として、憲法や教育基本法や学習権宣言を含めているという御答弁でした。本当にそれを大事にしていくか、していかないか、市民を主体、これをあらゆる場面で貫くか、貫かないか、ここは大きな試金石になっていると思います。 一問目の御答弁の中に言葉としてはありませんでしたが、私たちは、権利としての生涯学習権、これは市民、国民の基本的権利であるという観点をぜひ忘れずに持っていっていただきたいと思います。そのためにも、システム化と明文化をしてほしいと思うわけです。たまたま、情熱のある人が担当だったらうまくいったけど、人事異動でかわったら、さっぱりやと、こういうことが、残念ながら他分野ではよく聞くわけです。どなたがおなりになっても--もちろん、それは情熱のある人に来ていただきたい。ですけど、どなたが来ていただいて、やっていただいても、そのレベルはキープする、そういうことでなければ、積み上げというものがないわけです。 職員は人事異動でかわりますが、市民は人事異動がないわけです。奈良市内に住んでおりましたら、引っ越しすることはあっても、そのレベルを享受するというのは一緒なわけですから、職員の都合でですね、去年はうまくいきましたけど、ことしはあきませんというようなことでは困るわけです。ぜひとも、その辺のシステム化を検討していただきたいというふうに思います。 それから、現代的課題、学習内容のことについてですが、子育て、高齢化、高齢者福祉、公害と自然環境保護、健康と医療など、生活のあらゆる局面で深刻化している諸問題を、人々の共同の力で解決しようとする運動が高まり、それを発展させるために欠かせない学習活動が、広範に組織されている動きに励まされて、今、社会教育は、新たな生涯学習のシェアを獲得しつつあると--これは島田修一さんという中央大学教授の論文の中に入っている言葉なんですけれども、まさしく現代的課題というのは、こういうことだと思うんです。そのことを必ず踏まえといていただきたいと思います。 次に、数点、再質問を行います。現在、奈良市は、来年三月竣工予定で生涯学習センターの建設が進められており、来年度内の運営開始を目指して準備されています。そこで、まず初めに、生涯学習センターについて二つ、教育長にお尋ねします。 その一つは、運営についてです。財団などへの委託では、生涯学習活動が全庁を巻き込んだものにはなりません。ぜひ直営で行われ、配置される職員は、専門職で、情熱ある人が必要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。 その二つは、センターの一機能である情報の収集・提供についてです。収集についても繰り返し申し上げているように、市民主体が貫かれていなければなりません。どんな情報を市民は望んでいるのかの調査、収集に当たっても、国・県・他都市・外郭団体・公認団体などからだけでなく、市民公募の導入が行われるべきであると考えます。そして、市民は動き、生活スタイルは変化し、社会情勢も変わるわけですから、定期的に行う必要があります。また、情報提供時には、登録者や被提供者のプライバシーが保護されなければならないと考えますが、いかがでしょうか。 二つ目は、公民館についてです。生涯学習を進めるに当たって、最も活躍する公民館の活動、運用がもっと充実されなければなりません。地区館・分館に専門職の館長の配置、現行どおり無料でいくこと、公民館利用が飽和状態であることからきているわけですが、一部特定の団体に偏った利用のされ方の改善、大阪・京都へ勤めておられる市民の方たちのための開館時間の延長や毎日開館の実施、申し込み期間の拡大などが求められており、また市の生涯学習推進基本計画にも、これらはすべて盛り込まれています。とりわけ、専門職の館長の配置は、公民館活動のみならず、生涯学習の推進、地域の活性化には欠かせない課題であると思います。これらのことに早急に取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。 三点目は、生涯学習推進会議についてお尋ねします。奈良市PTA連合会、自主活動グループ連絡協議会、市青年団連絡協議会、奈良青年会議所、学識経験者、市立学校園長会から、十人の委員で組織されています。しかし、市の生涯学習推進基本計画に明記されている、広く市民から募った委員さんはいません。また、活動内容でも、住民の意思を反映するための意識調査、これも先ほどの基本計画に書かれているんですけれども、それも実施されていません。これらの点についての方針をお聞かせください。 四点目に、さきにお尋ねした生涯学習センターは、明確に社会教育施設、公民館類似施設であると考えますが、教育長の認識はいかがでしょうか。 最後に、私どもが、市議団がさせていただいたアンケート調査、また日ごろ私たちが市民の皆さんから聞かせていただいている声の中に、次のようなものがあります。奈良市が生涯学習推進基本計画を作成したり、生涯学習センターを建設したりと、生涯学習に力を入れているようなポーズは見受けられる。しかし、社会教育面で市が行ってる実際の方向としては、公民館の有料化の検討だったり、行政改革の一環として、社会教育施設の使用料の減免規定の撤廃が実施されたりしています。社会教育の切り捨てでは、生涯学習の振興は絶対できない。市が考えていることと、実際やっていることとかけ離れてるじゃないか、こういうものです。まさにそのとおりではないでしょうか。 生涯学習の大きな一翼をなすのが社会教育で、社会教育の充実、発展抜きには、生涯学習の推進も振興もあり得ません。推進基本計画--これですね、これのところに「施設の整備」という項目がありまして、ここのところに「費用」というのがあります。「公共施設のメリットは、明らかに使用料の安いこと、もしくは無料であるということであろう。」「学習権の保障という観点を重視し、受益者負担に過度にこだわることなく、無料もしくは低料金設定を貫いていくこととする。受講料についても、同様である。」と、はっきりと書かれています。これと、今、市が進められていることとの間には、大きな隔たりがあると思いますが、教育長はどのように御見解をお持ちでしょうか。 以上で二問を終わります。 ○議長(中村誠一君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 生涯学習センターにつきましては、年度内竣工を目標に、現在、工事が順調に進んでおります。その生涯学習センターの運営につきましては、現在調整中でございますけれども、やはり、私は、市全体として取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。また、職員の配置につきましては、やはり専門のスタッフによる、そういう運営が、ぜひ不可欠であるという認識をいたしてございます。 次に、情報の収集についてでございますけれども、生涯学習センターの機能の一つに、情報提供というのがございます。大きな事業の一つになってございます。その情報収集につきましては、行政機関などに限らず、広く全市を対象に呼びかけたいというふうに思ってございます。当然、これにつきましては、プライバシーの保護については十分配慮したいと、このように考えてございます。 それから、公民館活動の充実についてでございますけれども、もちろん地区館等におきましては、やはり地域地域の事情がございます。一律にそういう活動を規制することはできませんですけれども、やはり地域の事情に合って、地域の皆さんとよく相談して、機能するように、教育委員会といたしましては、よく検討し、さらに諮問機関でございます公民館運営審議会というのがございます。そこで十分検討いただくようにしたいなと、このように思ってございます。 それから、生涯学習推進会議についてでございますけれども、このメンバーにつきましては、いろいろの団体から出ていただいておるわけでございますけれども、本市の策定いたしております生涯学習推進基本計画の趣旨にのっとり、市民の意見が十分に反映できるようなことにつきましても十分配慮したいなと、このように思ってございます。 それから、生涯学習センターは、社会教育施設であるかどうかということでございますけれども、当然、社会教育施設でございます。 それから、公民館の有料化についてお尋ねいただいてるわけでございますけれども、識者より、既に有料化すべきだとの指摘を受けておりますが、この有料化を実施をいたしております公民館--これは他府県でございますけれども、調査をさせていただきますと、社会教育団体が使用する場合は、減免措置をしているのがほとんどでございます。したがいまして、そういう減免をやっておりますと、実際、実収入というのが少ないということもございます。また、有料になりますと、社会教育団体の活動につきましても大変支障がございます。そういうようなことで、本市といたしましても、このあたりを十分検討いたしまして、現在、行財政検討委員会の中で検討をいただいておると、こういうことでございます。 以上でございます。 ○議長(中村誠一君) 十二番中村篤子さん。 ◆十二番(中村篤子君) 一番最後に御答弁いただきました有料化の問題なんですけれども、収入を上げることが社会教育施設、必要では当然ないわけですよね。庁内検討委員会でそのことについて論議をするという御答弁でしたけれども、庁内検討委員会の中には、市民はいません。使うのは市民です。負担をこうむる者が入らない、そんな検討委員会で検討されていて、本当に生きた検討に果たして、なるんでしょうか。市民主体を常に貫くと、先ほど繰り返し、繰り返し申し上げている、そのことは、まさしくそういうことです。あらゆるところで市民が主体になって考えていかなければならないと思います。 今、市民が置かれている状況は、先ほどの我が党の代表質問にもありましたように、大変な状況の中です。使用料を上げれば、あるいは無料が有料になれば、当然、今まで使ってたけれどもやめとこか、十回してたけれど五回に減らそかと、当然なるわけです。それで果たして、生涯学習の振興に寄与するでしょうか。考えなくても結論が出るのではないかと思います。 先ほど示しました、この基本計画ですね、これは、お聞きしましたら、コンサルに安易に委託したのではなくて、学識経験者などから成る奈良市生涯学習懇話会と係長級から成る庁内検討委員会が論議をする。先行して行った生涯学習に関する意識調査、住民意識調査、有識者意識調査、民間学習機関調査の調査結果の独自分析を行って、相互のたび重なる会議によって作成されたものであり、評価できると思います。このため、市民ニーズがある程度反映されたものになっています。我が党市議団が独自に行ったアンケート調査にも見られる市民の要望、幾つかあるわけですが、例えば、山野草、生け花、絵画、習字などの作品展ができる無料で、低料金の多目的ホールが奈良市にはない。身近な公民館で障害者(児)が生き生き活動できるプログラムが欲しい。自主サークルで行うボランティア養成講座に対する情報や資金面での援助などの要望にはまだこたえられているというものにはなっていませんが、憲法や教育基本法、ユネスコの学習権宣言の精神をしっかり踏まえ、そして、みずからの手でおつくりになったこの計画を全庁のもの、全職員のものにしていただいてですね、そうしていけば、市民が望む生涯学習に大きく近づいていくというふうに思うわけです。 市民公募について少し申し上げます。東京都保谷市では市民公募十人、学識経験者からの選任五人--結果的に全員大学の教授になったわけですが、で構成される審議会において、会長それから二人の副会長、この三人が市民委員から選ばれる。そういうようなところで、常に市民主体の原則を貫いて、その上、市民への中間報告会も挟んで、一九九五年、このような生涯学習推進計画策定審議会が答申を出されています。ここには、ユネスコ学習権宣言を踏まえ、保谷市民の学習権宣言が提起されています。中身は当然ね、御紹介できないんですけれども、目次を見ればね--御紹介するだけでも、すごい内容なんです。先ほどの学習権宣言に始まりまして、「生涯学習の基本理念をどう考えるか」「一、生涯教育の原点に返って」「生涯学習を市民自治の活力として、民主主義社会を成熟させる」「『いつでも、どこでも、だれでも』が学びたいことを学ぶ自由を保障する」「人権思想を育てる--抑圧と差別からの解放のために」「生涯学習は市民の権利である」「社会教育で培った力を大切にしつつ、さらなる社会教育の充実と発展を」「市民参加で市民主体の生涯学習計画づくりを」「地域に根づいた学校づくりを」「『まなび』から『自治』に目ざめたまちづくりを」というふうにね、そういう項目の目次なんです。それについて逐一答申をしているわけです。最後のところには、保谷市におけるスポーツの振興について答申なども行われています。大変すぐれた実践ではないかと思います。 市民公募による行政参加は、実は、県下でも既に実施されています。ことし二月、市民の声を反映した情報公開条例を制定しようと、天理市は、情報公開制度のあり方を検討する情報公開懇話会の委員十人のうち、二人を公募で選ぶことを決め、二十一歳から七十歳までの天理市民三十三人が応募、市の意向が反映したと思われないようにと市役所で公開抽せんを行い、市民委員が選出されています。また、斑鳩町では、まさに今、この六月三十日締め切りで、情報公開条例懇話会委員十人のうち、男女それぞれ一人、計二人を町民公募しています。 市民公募は、今や先進的取り組みとして、実践の課題となっています。奈良市でもおくれることなく実践されることを期待するものです。これは、あくまでも市民参加です。主体というのは、もう少し突っ込んでいかなければならないものでありますが、まずは、やっていただきたいと思います。 次に、専門職員の配置についてです。これは諸条件の整備の核とも言えることです。例えば、千葉県君津市、木更津市、長野県松本市、東京都田無市、群馬県笠懸町、大阪府貝塚市などでは、公民館職員を一般行政職とは別枠で採用したり、教育委員会規則などで公民館職員としての位置づけを自治体独自に規定したりしています。公民館の地区館や分館がたくさん建設されたとしても、それだけで社会教育が、ひいては生涯学習が発展するものではありません。 我が党市議団のアンケートの回答の中にも、次のような指摘があります。一極集中型の生涯学習センターは、そう利用できるものではない。コンピューターなど、目新しいものが入って、お金がかかるだけ。大切なのは、中学校区単位ぐらいの、地域に密着した施設のネットワークができること。その点での点検をマップづくりでやってください。こう書かれて、回答をいただいています。これを実際に実践していこうと思えば、情熱ある専門職の館長なしでは不可能です。そのための専門職です。専門の職員の配置を行わないということは、このようなネットワークづくり、これはもうやらないんだ、行政としてはしません、こういうことを宣言してることと同じ意味ではないでしょうか。 次に、生涯学習センターのことについて申し上げておきたいことがあります。ラブぱち条例奈良市ラブホテル及びぱちんこ屋等建築等規制条例は、国の生涯学習センター構想が出される以前に制定されたものです。いよいよ、このセンターの利用法が明らかになってくる中で、明確に社会教育施設、公民館類似施設であるセンターも条例の対象とするという認識、つまり、目的にある、良好な生活環境を守る必要がある施設であるという認識を審議会の皆さんにも持っていただく、当然、行政も持っていく必要があると思います。必要であれば、ラブぱち条例の一部改正も、開館と同時に行う準備も始めていくべきであると考えます。 最後に、教育基本法の前文を御紹介して終わりたいと思います。「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」 このことを申し上げまして、私の質問を終わります。 ○議長(中村誠一君) お諮りいたします。 本日の会議はこの程度で打ち切り、明二十日午前十時より本会議を再開して質疑並びに一般質問を行いたいと思いますが、そのようにいたしまして御異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(中村誠一君) 異議なしと認めます。 よって、そのように決定いたします。 本日は、これで散会いたします。  午後四時十五分 散会---------------------------------- 地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。     奈良市議会議長   中村誠一     奈良市議会議員   山口裕司     奈良市議会議員   中西義次     奈良市議会議員   和田晴夫...